2001年8月13日の小泉首相の靖国神社参拝を巡り、関西や在韓など
の戦没者遺族ら338人が「政教分離を定めた憲法に違反し、精神的苦痛
を受けた」として、国と小泉首相、靖国神社を相手に1人1万円の慰謝料な
どを求めた訴訟の控訴審判決が26日、大阪高裁であった。
大出晃之裁判長は「控訴人らが主張する権利、利益は、概念としてあい
まいで不明確。法律上、保護すべきとは認められない」などとして、原告側
の訴えを退けた1審・大阪地裁判決を支持、原告側の控訴を棄却した。
憲法判断には踏み込まず、違憲確認の請求についても「確認の利益がなく
不適法」として却下した。
同様の集団訴訟で控訴審判決は初めて。全国6地裁で出た7件の1審判
決は、いずれも原告側の請求を棄却したが、唯一、昨年4月の福岡地裁判
決は違憲判断を示していた。
昨年2月の1審・大阪地裁判決は「内閣総理大臣の資格による参拝」と公
務性を認めたが、政教分離原則の判断には触れず、「(原告側が侵害され
たとする)戦没者をどのように祭祀(さいし)するかを決める権利は、法律上、
保護された具体的な権利や利益とは認めがたい」として慰謝料請求を棄却していた。
原告側が違憲判断を求めて控訴。国や小泉首相は「私人としての参拝。
公用車の使用は警備上、必要だった」などと反論、靖国神社も控訴棄却を求めていた。
判決によると、小泉首相は公用車で靖国神社を訪れ、私費で供花料を支
払い、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳して参拝した。
小泉首相は就任後、計4回、靖国神社に参拝。中国や韓国が「A級戦犯が
まつられている」などと強く反発している。
※読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050726i205.htm