セイコーエプソン(諏訪市)と富士通(東京)は15日、半導体メモリー「FRAM」の
次世代技術を共同開発する、と発表した。FRAMは他のメモリーに比べ情報の
保護性能が高く、既にICカードなどで富士通が実用化。両社の技術を組み合わせ、
高集積化と、耐久性向上を図る。エプソンは携帯端末などへの応用を目指す。
FRAMは電源を切っても記憶したデータが消えない不揮発性メモリー。
不揮発性で主流のフラッシュメモリーに比べデータの読み書きが速く、
書き換え回数も10億回以上と、フラッシュメモリーの1万倍。消費電力が低いため、
書き込みの際に電波が読み取られにくいのも特長だ。
富士通は1999年に実用化。量産技術も確立し、市場をほぼ独占している。
一方、エプソンは2003年夏に、書き換えの繰り返しによるデータ劣化を防ぐ
FRAM材料を開発。半導体を小さくパッケージする技術もある。共同開発で
開発期間を短縮し、富士通は市場での立場を強め、エプソンは実用化を加速する。
具体的には、現在のFRAMの6分の1の大きさに集積化。書き換え回数は
さらに10万倍拡大し、事実上書き換え無制限とする。
来年9月までの開発完了を目指す。
個人認証のICカードは、建物などの入場ゲートのほか、金融機関の
偽造キャッシュカード対策などで需要が急増。高集積化することで他のチップとの
組み合わせが容易になり、応用分野が拡大する。エプソンは「小型軽量の
モバイル系機器など、さまざまな商品、サービスにFRAMを活用できるようになる」
(広報・ブランド戦略部)としている。
http://www.shinmai.co.jp/news/20050616/KT050615BSI090012000022.htm