お年寄りを狙った悪質な訪問リフォームが相次いでいる問題で、
埼玉県川越市に住む50歳代の無職の男性が、5業者と約1300万円の住宅リフォームの
契約を次々と結ばされていたことが分かった。同市生活情報センターは「男性は交通事故で
頭部を損傷し、金銭に対する判断能力が乏しい」と判断、救済に乗り出したが800万円は回収できなかった。
認知症(痴呆)のお年寄り以外にも社会的弱者を狙った業者の実態がまた明らかになった。【弘田恭子】
センターなどによると、男性は00年以降の2年間に計5社と床下改善工事、白アリ予防消毒、
天井換気扇設置、防カビ工事、耐震工事の契約を次々と結んだ。
その後、6番目に契約しようとした業者が男性を伴って同センターを訪れ、
「男性がリフォーム工事で結ばされたクレジット契約がおかしい」と指摘したことから、センターが調べていた。
男性は無収入で、年金生活の高齢の母と2人暮らし。また、男性は10代のころ交通事故に遭い
頭部を損傷したことなどが原因で「契約に関する判断力は乏しかった」という。
このため、センターは男性に代わって業者と交渉、契約代金を受け取った2社と未払いだった1社の
計約500万円分の契約を無効とし、返金させるなどした。
センターは代理交渉した理由について明らかにしていないが、ずさんなリフォーム工事を高額で請け負ったり、
返済能力のない男性との契約の無効性を業者に指摘したとみられる。
ただ、1社は倒産し、残りの1社は「既に工事は完了している」と返金に応じなかったという。
川越市市民活動支援課は「男性は、(リフォームに伴う)借金がどの程度になるとか、
契約金は払わないといけないということすら、判断できない状態だったようだ」と話している。
そのうえで「定職がなく、無収入の人と業者が多額の契約を結ぶのは異常。
クレジット会社もブラックリストに載っていなければ契約してしまう」と指摘した。
毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050614k0000m040136000c.html