恐竜の絶滅した原因

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242名無虫さん
すでに終わってる様子だけど、答え。
恐竜絶滅の原因は代謝率の高さにあったと思われます。
白亜紀末に何らかの地球規模の激変があったことは間違いなく、
植物の一次生産が激減したせいで、生態系全体が崩壊しました。
潤沢な環境では、多少コストが高くても、エネルギー代謝の高い
グループの方が有利です。しかしこのような破局的状況では
それが逆に徒となります。

つまり白亜紀末の激変時、当時もっとも代謝率(つまりコスト)の高かった恐竜類が全滅し、
次いで高い代謝率を持っていた哺乳類が少々生き残り、
両者に比べて低い代謝率しか持たなかった爬虫類は、ほとんどダメージを
受けることなく生き延びたと。こう考えるのが自然だと思います。
ダルマ落としのように、真ん中だけ抜こうとするから謎が生じるのです。
鳥類も危ないところでしたが、嘴を持つわずかな種が生き延びました。
それは極端なまでに飛翔に適応したグループで、空間的に広範囲にエサを漁り、
虫などを食べる生活者だったと思われます。
243名無虫さん:04/01/01 13:08 ID:???
余談ですが、二乗三乗則は幾何学的相似を前提としており、
現実に生き物のサイズを規定するルールとは異なります。
生物のスケーリングは、実際には独特のアロメトリーに従っており、
筋断面積は体重の2/3乗ではなく、3/4乗、つまり代謝率に比例します。
スケーリングの分野はまだまだ謎が多く、
多くは単純な理論でスッキリと説明できるけど、
いくつかの根本的な部分では、データだけはあるけど
それを解明する理論が見つからない、といった状況のようです。
244名無虫さん:04/01/01 18:22 ID:???
組織末端での、毛細血管の枝分かれから
フラクタル次元求めるとどうなるか??
245名無虫さん:04/01/01 22:14 ID:???
よく誤解されることですが、骨の役割は体重を支えることではなく、
筋肉を支えることにあります。
体重を支えるのは筋肉(筋力)であり、その筋肉を支えるのが骨なのです。
結果として「骨が体重を支えている」と言っても良さそうですが、
ここにはかなり重要な相違があります。
たとえば、同じ体重でより力の強い動物がいたとしましょう。
彼らの骨は、比較してより強度が高い(太い、あるいは短い)はずです。
一見当たり前のことのようですが、骨の強度を体重との相関で見るだけでは、
決してこの結果を見いだすことはできません。
246名無虫さん:04/01/01 22:32 ID:???
簡単な理論と実測から、
筋力∝筋パワー∝代謝率
という事実が知られています。
そして長骨は、筋肉によって与えられる曲げ応力を、
サイズが変わっても一定に保つよう設計されています。
筋肉が主、そして骨のスケーリングは従なのです。
筋力は代謝率、つまり体重の3/4乗に比例するので、
比筋力(体重あたりの筋力)は、体重の-1/4乗に比例することになります。

簡単に言うと、サイズが大きくなるほど
指数関数的に比筋力は減少していくため、
動物はサイズが増すほど動きが鈍くなるし、
必ずどこかで体重の限界に到達するのです。
247名無虫さん:04/01/01 23:16 ID:???
ここで二種類のグループを考えてみましょう。
一方はもう一方のグループより代謝率が高く、
強い筋肉(大きな筋断面積)を持っています。
横軸に体重、縦軸に比筋力を取った対数グラフを書くと、
-1/4の傾きを持った2本の直線で表されることになります。
力学的同一性が等しいなら、縦軸の同一線上に
「陸生脊椎動物としての、比筋力の最低ライン」を取ることができます。
そのときの横軸の値が、そのグループの限界体重です。
ここで重要なのは”比”であるため、具体的な数値は必要ありません。
248名無虫さん:04/01/01 23:23 ID:???
ではその比は、具体的にどうなのか?
両直線の傾きは-1/4で等しいため、
両グループの限界体重は比例係数の4乗に
比例することになります。
同体重で二つのグループを比較すれば、
簡潔に次のように言うことができるわけです。

「限界体重は、代謝率の4乗に比例する」
249名無虫さん:04/01/01 23:34 ID:???
少しばかり検証してみましょうか。
よく知られたことですが、有袋類の代謝率は
真獣類より若干低く、ほぼ70%しかありません。
代謝余裕は標準代謝率の10倍弱と、事実上等しいため、
有袋類は真獣類の3割落ちのエンジンを持っていると言えるわけです。
代謝比は1:0.7となります。4乗比を取ると、
1:0.2401
つまり有袋類は、真獣類に比してほぼ1/4の限界体重しか持ち得ない、
という予想が成り立つわけです。
250名無虫さん:04/01/01 23:43 ID:???
残念なことに、真獣類の歴史上の最大種インドリコテリウムは、
ごくわずかな部分化石しか発見されておらず、
その体重見積もりも11〜34dと広すぎます。
一方の有袋類最大種グリプトドンはほぼ完全な骨格が
いくつも見つかっており、体重の推定も容易でしょう。
ただし私は数字を見たことがありませんから、断言はできません。
サイくらいの大きさだと通常紹介されているので、
せいぜい2〜3dといったところでしょうか。
インドリコテリウムの体重を最低見積もりの方に取れば、
なんとか理論は破綻せずに済みそうです。
251名無虫さん:04/01/01 23:58 ID:???
これは草食獣の比較ですが、肉食獣で比較することもできます。
捕食者は獲物を捕らえて殺さなくてはならないため、
被捕食者に比べてより大きな比筋力を保っていなくてはなりません。
つまりその限界体重は、被捕食者よりも軽いところに設定されていなくては
ならないわけです。
よく知られたサーベル牙の捕食者は、ライオンより大きくなることはありませんでした。
捕食者としての限界体重がおそらくあのあたり(真獣類の場合、200〜300kg)にあるため、
大型獣を狩るためには武器を巨大化するしかなかったわけです。

横道にそれましたが、ティラコルミスの体重はスミロドンの1/4程度であろうと、
ここでは言いたかったわけです。
252名無虫さん:04/01/02 00:10 ID:???
ティラコスミルスですね、失礼。
253名無虫さん:04/01/02 09:48 ID:???
×グリプトドン
○ディプロトドン
254名無虫さん:04/01/04 15:31 ID:???
では恐竜に拡張してみましょうか。
「限界体重は、代謝率の4乗に比例する」
言い換えれば、
「代謝率は、限界体重の4乗根に比例する」

恐竜の限界は、現在のところアルゼンティノサウルスの
90〜100dくらいと見ておいていいでしょうか。
インドリコテリウムはやはりハッキリしませんが、
他の哺乳類の巨大種(長鼻目の幾種か)の数倍の体重があったとも
考えにくいので、やはり11〜13d程度として考えてみます。
恐竜の場合、その限界体重は哺乳類(真獣類)の8倍くらいでしょうか。
アフリカゾウとブラキオサウルスもちょうどこのくらいの比なので、
それほど的を外れた数字ではないと思います。
1:8で4乗根を取ってみると、
1:1.68179
概算ですが、恐竜の代謝率は、哺乳類の約1.7倍程度であろうという結果です。
255名無虫さん:04/01/04 15:42 ID:???
これは特に現実離れした数字ではありません。
たとえばスズメ目の仲間は、他の鳥類や哺乳類に比して
約2倍の代謝率を持っていますし、生理的には十分可能なものでしょう。

残念ながら、これは何かを証明するものではありません。
単に、「計算上、恐竜類の代謝率は哺乳類の1.7倍程度あったと思われる。
ブラキオサウルスがゾウと同レベルの運動を行うには、
これくらいの代謝能力が必要である」
と言っているだけです。
ただこの観点に立てば、従来の大きな謎に答えを出すことができます。

恐竜はなぜ(哺乳類より)大きいのか?
哺乳類はなぜ恐竜との競合に敗れ、彼らが絶滅するまで出番がなかったのか?
なぜ恐竜は絶滅したのか?

恐竜の方が、代謝率が高かったから。
つまりより性能が良く、コストの高いエンジンを搭載していたからです。
256名無虫さん:04/01/04 15:54 ID:???
最後に提言をしておきましょう。
そもそも哺乳類との比較として恐竜の代謝を考えるなら、
まず3つの仮定が成り立つはずです。

1:哺乳類以下
2:哺乳類と同程度
3:哺乳類以上

このうち1と2に関しては、これまでさんざん議論がなされてきました。
しかし3については、議論どころか仮定が提出されたことすらありません。
単に誰も思いつかないからです。つまり無自覚な偏見。
なんと言っても、我々自身が哺乳類ですから。
学問と言えど、時代の枠組みからは逃れ得ぬもの。
おそらく現役の古生物学者にこの壁を破ることはできないでしょう。
はるかな未来に無責任な期待を掛けるとしましょうか(笑