【歴史好き=サヨ】か?

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>>320に対するコメント(>>325)へのレスです。

>>325
『「歴史学的手法に則って史料を解析すること」によって得られた成果』の意味する所に
ついて私の念頭にある概念は、おそらくあなたが想定しておられるのよりずっと狭い意味
で用いています。このことはすでに>>163で述べていますが、改めて以下に解説します。

*******************
史料を手にした「歴史家」が、「研究成果」を発表するまでには次ぎのようなプロセスが
あります。

1.「歴史学的手法」に則って史料を解析する
2.上記解析によって得られた成果を、その人の興味関心・問題意識その他によっ
  て取捨選択・意味づけして公表( → 学術論文/学界向け)。
3.上記2の作業を根拠として一般向けに自説を公表( → 概説書や教科書など)

ある歴史家において、>>325氏のいう「分析の枠組や概念規定」や、あるいは政治的思想
的立場などが影響を及ぼしたり、「時間の経緯とともにメッキがはがれる」事態がおこる
のは、2以降の段階に対してだけです。

今、師匠が昔書いた論文を単行本にまとめる作業を手伝っていますが、たとえばある共和
主義秘密結社の王朝に対する武力蜂起を扱った論文の場合、時代認識の枠組みとか、その
蜂起の意味づけや解釈などは、現在まったく通用しない古くさいものになってしまいまし
たが、1の段階で明らかにされる、その結社がどの土地に誰を指導者としていかなる下部
組織を保有していたか、その蜂起において各下部組織が如何に行動し、滅亡していった
か、など直接『「歴史学的手法に則って史料を解析すること」によって得られた成果』に
基づく項目については、後に師匠が新たな史料に基づいて訂正を加えた部分を除き、現在
でも全く訂正する必要はありません。

>>163では、せっかくの史料の解析によって得られた成果に対する「曲解・歪曲・改竄」
あるいは解析成果の捏造・捜索や無視・不使用、史料そのものに対する隠匿または破壊な
どが起きる問題も指摘しましたが、この種の問題は、「歴史学的手法に則った史料解析」
という手法そのものに由来するものではありません。