§§語源を解説するスレ§§

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571世界@名無史さん
「刀伊の入寇」

諸国が千々に乱れておったその昔、佐渡のある漁村に娘がひとりおった。
歳は十七、名を「とい」といい、
その健やかな美しさに島の若衆はみな色めきたったものじゃった。

ある日、といに縁談が舞い込んだ。
相手は歳若き美男にて、新たに佐渡の封を受けた猛きもののふであったそうな。
都を遠く離れた島国の事、身分の違いなど気にするものはおらず、
久々の慶事じゃよって、といの嫁入りは島を挙げて祝われたそうじゃ。

じゃが、幸せな日々もそう長くは続かんじゃった。
といの夫君は、越後の間者の手により毒を盛られ、
命だけは助かったものの、痴愚に成り果てたそうな。
そして、といは自らの幸せを奪った者どもに対し、永久の復讐を誓ったと聞く。

その後のといは、女だてらに佐渡の船乗りをまとめ諸国の沿岸を荒し回って一生を終えたんじゃが、
その際つねに大太刀を握って舟頭に立ったことから「刀伊」とのあだ名がついたという。

悲しい話じゃ。
今でも越後の子供らは、わるさをすると「刀伊がくるよ」と脅かされるという。
(昭和24年、新潟県東頸城郡にて採集)