「皇帝」とは、歴史的な権威の継承や、諸王の中の王というものがなければ、
国際的にはなかなか認められません。広大な領地を持ち、大英帝国と称した
イギリス国王が「皇帝」を名乗れず、インドのムガル皇帝を継承する形で
「皇帝」と称し、インド独立とともに「国王」に戻ったのがいい例でしょう。
「皇帝」と称して、国際的に認められたのは他にもあります。
オーストリア皇帝、ロシア皇帝、ドイツ皇帝、オスマン・トルコ皇帝、
エチオピア皇帝、中国皇帝、そして日本の天皇などがそうでしょう。
そもそも「エンペラー」の語源とは、ローマ帝国のローマ皇帝が、
「アウグストゥス・インぺラトル」と称したところからきています。
オーストリア皇帝は西ローマ帝国を継承し、ロシア皇帝は東ローマ帝国を継承している。
ドイツ皇帝は、ドイツを統一したプロイセン国王が、諸王の中の王として皇帝の位に
ついたナポレオン、ナポレオン三世の後を、わざわざベルサイユ宮殿まで行って継承している。
オスマン・トルコ皇帝は、イスラム世界における最高の教主「カリフ」の地位を
受け継いでいるため、ヨーロッパ人からも皇帝として認められた。
エチオピア皇帝は、ソロモン王の直系とされ、エチオピアをアフリカの強国に
築き上げたことで、ヨーロッパ人にも皇帝として認められた。
中国皇帝は、秦王が中国を統一して皇帝を称した(始皇帝)わけで、諸王の中の王
という立場で中華文明を継承してきた。
ちなみに英国王が継承したインドのムガル皇帝とは、チンギスハーンの
モンゴル帝国を継承しています。
日本の天皇がヨーロッパ人から「皇帝」として認められたのは、日本が日露戦争に
勝ったこともあるかもしれませんが、やはり世界最古の王家であることが大きいでしょう。
そして天皇は世界で最後に残った皇帝(エンペラー)です