1 :
世界@名無史さん:
おすすめの著作とともにどうぞ。
2 :
世界@名無史さん:2001/02/18(日) 21:17
大先生なんてやめましょうや。市定を誉めるなら湖南も誉めねばなるまい?
「宮崎市定スレッド」でいいじゃん。ってもう遅いか。
東洋史関係の先生が出している全集や著作集のなかで、
一番通読しやすいのが、宮崎市定かなー。
イチオー、大学生のとき図書館で借りて全部読んだよ。
おすすめは何かなぁ、おれ『水滸伝』好きだから、
二人の宋江って話がおもしろかったよーに思う。
出番だ、○○○!思う存分蘊蓄をかたむけろ!!
4 :
世界@名無史さん:2001/02/18(日) 21:51
俺は大先生のイスラム史時代区分を真に受けたよ・・・。
5 :
世界@名無史さん:2001/02/18(日) 22:03
長生きした方だからな。
6 :
世界@名無史さん:2001/02/18(日) 22:08
>>4 肝心の中国史の時代区分はどうなの?
古代=後漢まで、中世=唐五代まで、近世=宋以降
これって今の学界じゃ認められてるの?
7 :
世界@名無史さん:2001/02/18(日) 22:37
>>6 んー、微妙なところだね。何を主眼に置くかで時代区分ってのは、
学者それぞれの視点、研究によっても異なってくるし、
学者自身がおかれた時代背景にも影響を受けているからね。
いまだ定見をなさず、というのが本当のところで、
湖南説を発展させた市定説も見るべきものはあるが、
完全に間違ってもなければ完全に正しくもないといったところ。
まだまだ研究の余地はあるってことっすね。
堀敏一センセが著書で時代区分論争史を総括して自分の考えを
述べたものがあったと思うんだけど、それを読めば現在までの
日中の時代区分論について大体分かるはず。
(いま手元にないから、タイトルが・・・・)
8 :
世界@名無史さん:2001/02/18(日) 22:55
「中国史」の総論が好き。
あれで焚きつけられて、今京大の東洋史志望。
今週入試受けに逝ってきます。
9 :
世界@名無史さん:2001/02/18(日) 23:00
名のある歴史学者であれほど一般人向けに「読ませる」
歴史叙述を書く人はめったにいないと思う。「中国史」
とか「大唐帝国」とか。
>>8 おおっ、がんばれ。頭いーんだね、京大受けるなんて。
>>7 「中国近年の時代区分論争」のことでしょうか?
中国史の時代区分論ですが、唐宋間に大きな変化を認めるという
点については、殆どの論者の間で異論はないようですね。
>>8 『中国史』の総論、私もお気に入りです。色々と考えさせられ
ました。入試、頑張ってください。
>>9 私もそう思います。大先生の著作は、文章平易ながら低俗に
陥っておらず、尊敬することしきりです。
私の一番のお気に入りは、「史記李斯列伝を読む」です。
どこまで真相を探り当てているかは分からないのですが、
始皇帝死後についての私の長年の疑問に対して、説得力の
ある解答を提示してくれました。
12 :
世界@名無史さん:2001/02/19(月) 02:45
誰か批判する奴ァいねえのか
13 :
世界@名無史さん:2001/02/19(月) 03:06
後漢から中世というが断絶の大きさからいうに西晋と東晋の間が
古代と中世の間といった方がいいんじゃないのでは?
近世は宋以降というけど唐と遼の継続性(なんてこたあまりいわれないが)を考えるに
「五代・遼」から近世でもいいように思う。
14 :
世界@名無史さん:2001/02/19(月) 09:00
宮崎先生の代表作といえば『九品官人法の研究(科挙前史)』、
それに『科挙-中国の試験地獄-』が挙げられるでしょうか。
とくに前者は中国史を学ぶ者にとって必読の書といわれたものですが。
そういえば『現代語訳論語』なんてのもありましたね。
なんともオーソドキシーを屁とも思わないような斬新な解釈が面白かったように思います。
15 :
世界@名無史さん:2001/02/19(月) 10:43
「論語の新研究」もおもしろい。
おもしろいけど、正統派ではないので論語読むのは初めてという人には勧められないな。
16 :
あやめ:2001/02/19(月) 16:06
「論語の新研究」は谷沢永一さんだったかが評論の中で振り回してたのを、
呉智英さんが「あれは宮崎さんが気侭に書き飛ばしてる面もあるから、あ
あ宮崎先生やっとるやっとると楽しむべきもので、碩学の権威的解釈とし
て得意げに援用したりせん方がいい」と評していたのを記憶しています。
まあそういう本でしょうね。
中学生の時に「アジア史概説」と「東洋における素朴主義の民族と文明主
義の社会」を読みいたく感銘を受け、以来いろんなものを読んでますが裨
益されるところが多かったと感じています。細かな考証も大掴みな論考も
水準の高さに敬服します。しかしかなり大胆な主張もあって用心しなけれ
ばならない場合もあります。
例えば西周の時代などというものは実質が欠如していて、大幅に年代を繰
り下げなくてはいけないなどという主張に対しては、白川静さんなどは大
変憤慨しておられ、先学が金文の精細な検討で西周史の再構築に努めてき
た業績を何と思っているんだと批判しており、尤もなことのように思いま
す。内藤先生などはかなり思い切ったことを語っても熟考すると腑に落ち
るという面がありますが、やはり上には上があるということでしょうか。
通史を書いてもやはり内藤先生の方が読ませるものがあります。岩波全書
の「中国史」は今一つの感があります。
17 :
伯昏無人:2001/02/19(月) 17:56
>>16 西周のことは結局死ぬまで譲らなかったそうで。
頑固爺さんだったんでしょうか・・・。
あやめさまは内藤湖南に左袒されるというか、
内藤史学を高く評価なさってるんですね。
湖南が没してから、今年で67年目ぐらいになりますか。
とうに著作権が切れているので『支那史学史』の電子テキスト化を
目論んだことがありますが、旧かなづかいや返り点の処理に困って
結局あきらめてしまいました。XMLなどを上手に使いこなせば、
うまく処理できる可能性があるらしいのですが・・・。
>中学生の時に「アジア史概説」と「東洋における素朴主義の民族と文明主
義の社会」
>を読みいたく感銘を受け
すごいですね。私が中学生のころは宮崎市定の名前すら知りませんでした。
陳舜臣さんの中国の歴史などを読んで漠然と中国史に対するあこがれを抱いているぐらいのものでしたよ。
18 :
伯昏無人:2001/02/19(月) 18:17
いま宮崎市定の『中国史』を久々にひっぱり出しました。
むすびにこう書いてらっしゃいますね。
私は物を書くのに精進潔斎して机に向い、
苦吟渋思して筆を動かすという態度を取らない。
私は楽しみながら筆を走らせるのが、
最上の著述態度だと考えている。
著者が自身で感興を持つのでなければ、
読者が面白いと思って読む筈はない。
読者の百人のうち、たとえ一人でもいい、
学問を面白いと思って読んでくれるなら、
学者の冥利これに尽きる話ではあるまいか。
私は『論語』の「これを知るものはこれを好むものにしかず、
これを好むものはこれを楽しむものにしかず」という言葉を
思い出しました。
学問は面白いものだ、それを自ら実践して教えてくれた宮崎先生、
私のような後学にも暖かく東洋史の門戸を開いてくれているような
気がします。
私個人としては、まだまだ楽しんで筆を走らせるような境地にはいたりませんが・・・。
19 :
11:2001/02/19(月) 19:13
>>12 仁井田陞先生は、宋代の佃戸の地位を巡って大先生を随分と
批判されたようです。
>>13 後漢までは基本的に古代で、後漢末の争乱以降が中世というのが
大先生の立場のようです。
>>16 貝塚茂樹先生は、大先生の西周抹殺論について、何か批判された
ことがあるのでしょうか?恥ずかしながらこの点について知りま
せんので、宜しければ御教示ください。
20 :
世界@名無史さん:2001/02/19(月) 19:26
宮崎の著書って、おもしろいけど細かいところをつつくといくらでもアラが出てくるよね。
でもそんなことくらい本人も自覚してたんじゃないかな?
21 :
世界@名無史さん:2001/02/19(月) 19:49
>>20 そのアラとやらをいくつか教えていただけませんか?無学なもので。
22 :
あやめ:2001/02/19(月) 20:12
仁井田さんと藤井宏さんは宮崎さんの天敵ですね。
特に藤井さんはトラブルメーカーとして有名で、自分の研究室のスタッフ
とも大喧嘩して新聞種にまでなってしまいました。
23 :
あやめ:2001/02/19(月) 20:21
>19
見かけたことないです。
同じ京大の同僚ですし直接名指しで批判でもされない限り人様の説にケチ
付けたりしないものじゃないかと思います。
ただ貝塚さんは西周実在説で当然という態度を維持して、宮崎説は無視です。
25 :
11:2001/02/19(月) 22:35
>>23 あやめさん、レスありがとうございます。
大先生も貝塚先生の見解に御不満な点があったようですが
(『中国古代史論』まえがき)、名指しは避けておられます
ので、そういうものなのかもしれませんね。
仁井田先生は松本高等学校で大先生の後輩(三年下だったかな)
だったそうで、因縁を感じます。
26 :
世界@名無史さん:2001/02/21(水) 22:51
古い方の中公版世界の歴史のうち、今読んで一番違和感がないのが
大先生が執筆した巻だと思う。近現代史の部分なんかは正直言って
読むに耐えないところが多すぎる。
27 :
日本@名無史さん:2001/02/22(木) 20:32
↑ そりゃ、前近代は史料が少ないから、大幅に記述が変わらないのだよ。
>>27 少ないからこそ、新出の史料が発見されれば大幅に歴史が修正されることもある。
また前近代といっても、一人の人間が一生をかけても読み尽くせないほどの史料はある。
29 :
世界@名無史さん:2001/02/22(木) 20:53
>また前近代といっても、一人の人間が一生をかけても読み尽くせないほどの史料はある。
正史を全部読むだけでも大変。できることじゃない。
30 :
世界@名無史さん:2001/02/22(木) 21:33
読むことが偉いの?
読まないよりはいいけど
31 :
世界@名無史さん:2001/02/22(木) 22:18
>>30 あんた何言ってるの?
偉いとかいう話なんかどこに出てるの?
32 :
26:2001/02/22(木) 22:48
史料の問題っていうか、ありきたりだけど要はサヨ偏向てこと。
秩序を破壊する民衆の暴力は正しいって言う価値観がある。
大先生は明白にそういったもんを拒否してるからね。
33 :
歴史趣味:2001/02/23(金) 00:14
李自成や太平天国への
厳しい視点は一種爽快ですらある。
34 :
世界@名無史さん:2001/02/23(金) 00:26
太平天国なんて文革時代には中共が恥ずかしくなるような持ち上げ方してたよね。
35 :
名無しさん:2001/02/23(金) 21:58
御大の本をもっと読もう。
36 :
あやめ:2001/02/28(水) 19:04
大先生の随筆集「独歩吟」には留学中にミュンヘンの酒場で偶然にヒト
ラーに遇い、握手を交わした思い出を好意的に書いています。独裁下に
あっても社会一般は民主的様相を失っていない空気を活写しています。
ヒトラーのこととなると例えば絵が趣味だったという話に触れると、で
も下手だったという一言を必ず付け加えてエクスキューズする、小心な
知識人が多い中でさすが大先生は悪びれない大物です。
37 :
世界@名無史さん:2001/02/28(水) 19:18
>李自成や太平天国への
>厳しい視点は一種爽快ですらある。
>34 名前: 世界@名無史さん 投稿日: 2001/02/23(金) 00:26
>太平天国なんて文革時代には中共が恥ずかしくなるような持ち上げ方してたよね。
あのさあ。あんた方、中国側の「農民起義」(というんだなあっちでは)
研究をよんでる?
中国共産党こそ「革命」を成し遂げられる真の「主体」だ!
と吹聴してるのに、李自成・大平天国を絶賛したら自分たち共産党と
彼らの差異が明白じゃなくなるじゃないか。
逆だよ。中国は。
「農民は立ち上がった。しかし、階級闘争の限界を突き破れなかった」
ってばかりの研究だよ。
38 :
世界@名無史さん:2001/02/28(水) 19:19
厳しい目線は、どっちも大差ないよ
39 :
世界@名無史さん:2001/02/28(水) 21:16
>39
まあね。今までは無理だったけど、これからは俺たちがやるんだから
違うぞ、っていうのが基本的な主張だからね。でも、太平天国とかを
持ち上げてたのは確かにそうだよ。限界性を指摘しながらも、大衆の
力を結集した好例ってことで評価してるんだったと思うけど。
40 :
世界@名無史さん:2001/02/28(水) 21:39
李自成、太平天国、そして中国共産党については
高島俊男著『中国の大盗賊 天下を狙った男たち』(講談社現代新書)
がおもしろい。
洪秀全やその一党がいかに○○○○だったかよくわかる。
このスレにカキコしてるような人たちには「いまさら」の内容かもしれ
んけど、初心者の人にはおすすめ。新書だから値段も手頃だし。
41 :
七資産:2001/03/03(土) 16:26
井波リツコの本もよい。
42 :
名無しのオプ:2001/03/04(日) 01:18
よくない。
43 :
11:2001/03/07(水) 07:32
大先生の代表作は何でしょうか?
一般に最もよく知られているのは『科挙』、学会で最も
評価が高いのは『九品官人法の研究』かなあとは思うの
ですが。大先生御自身は、「条支と大秦と西海」を生涯の
傑作とお考えのようです。
44 :
あやめ:2001/03/07(水) 16:44
これってなかなかの難問です。これが内藤湖南だと見識を知るには「支那
上古史」、学殖を見るには「支那史学史」ってことになるんでしょうけど、
大先生の場合はこういう概説の大著がない、強いて挙げれば「アジア史概
説」でしょうか。一方で湖南先生には桑原先生の「蒲壽庚の事跡」や大先
生の「九品官人法の研究」みたいな一つのテーマをとことん追求した著述
は無いみたいです。
大先生の個々の諸論考はいずれも水準の高いものばかりですが、その史観
の最重要テーマを凝縮して提示しているという点から、「東洋的近世」を
挙げたいのですが如何でしょうか?
45 :
11:2001/03/07(水) 22:07
>>44あやめさん
歴史とは世界史であらねばならない、との基本的御立場
から時代区分論に熱心だった大先生ですが、その主張が
最も的確簡潔に浮かび上がっているのは『東洋的近世』
かなあ、とも思います。やはり、宋代の研究期間が最も
長かったからでしょうか。その意味では代表作かもしれ
ません。
近世と同様に、古代と中世についても、同様の立場から
考察されて数々の論考を書かれていますが、『東洋的近世』
ほどには的確簡潔に上手く述べられている概説はないかなあ、
とは思います。古代については「中国古代史概論」や「東洋的
古代」がありますが、前者は暴走気味、後者は世界史的
観点からの叙述部分があまりないように思われます。
私から代表作を挙げるとなると、やはり迷うところですが、
古代中国における都市国家の存在を最初に提示した「中国
城郭の起源異説」を挙げます。
46 :
あやめ:2001/03/08(木) 18:25
大先生も貝塚さんもフュステル-ド-クーランジェの「古代都市」に示唆を
受けているそうです。
47 :
11:2001/03/08(木) 20:06
>>46あやめさん
なるほど、そうなのですか。
坂口先生の影響大なのかなあ、と思っていました。
いつもながら勉強になり、有難う御座います。
古代都市国家論ではありませんが、大先生は坂口先生の
上司(と言っていいのかな)の原勝郎先生の見解にも
示唆を受けているように思います。大先生も仰って
いましたが、大家の揃った良き時代に巡り合ったのは、
大変な幸運だったと言えるのでしょう。
48 :
猫:2001/03/08(木) 20:41
門外漢にとっても、先生の歯切れのいい達意の文章は十分に楽しめますね。
法律学における我妻先生の文章が達意にして滋味溢れるものであるように、史学における先生の文章は突出したものであるとおもわれます。
残念な事は、史学、法学を問わず、今日の研究者の文章力は日本の人文科学、社会科学の水準の上昇と反比例して低下し、門外漢の楽しみを奪っていることです。
なんとか、先生に近い水準の文章による歴史論文を作成頂き、門外漢を楽しませてください。失礼しました。さようなら。
49 :
世界@名無史さん:
そうですね。文章の深みがなくなったのは近年の研究者が
あまりに専門化し視野を狭めたことに原因があるように思います。
私は事象をとらえるには古典に頼らざるをえないのだ
(瑣末な知識の積み重ねで事象を解することなどできないのだ)
そう教えてくれる世界史という分野が大好きです。