[●]正義の枢軸物語【卍】第5部

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145/30読売新聞夕刊より
イタリアのプローディ首相が「ウルティモ・ジャポネーゼ(最後の日本人)」とさらりと口にしたので、はっとさせられた。
 今年1月に自ら率いる政権が崩壊し、政界引退を表明していた前首相。
総選挙(4月中旬)が終わり、いよいよお別れという時になって、忠義を尽くしてきた政治家仲間に「君たちこそ、最後の日本人」と賛辞を贈ったのだ。
 当の日本人からすれば、妙な言い回しに思えるが、伊政界通の知人によれば、「イタリアの政治家がよく使う表現」
1970年代に、フィリピン・ルバング島で小野田寛郎さん、米領グアム島で横井庄一さんら旧日本兵が発見されたことにちなみ、「最後まで忠義を尽くした人」を指す。
 「あきらめない人」という意味合いでも使われる。
総選挙で中道・左派を率いた民主党(PD)のベルトローニ党首は、「密林に残った日本人たちに戦争が終わった事を伝える必要がある」と、選挙運動が終わっても"中傷合戦"をやめなかった中道・右派に抗議した。
 政治家同士、党派間で離合集散が繰り返され、相互不信が強い伊政界。「忠誠」を語るには、日本人を引き合いに出すしかないのか。