「ドラえもん、のび太とアンゴラの戦い」
チンギス・ハンの子孫が築いたチャガタイ・ハン国の零落貴族から身を起こした
ティムールは、一代でイランからインド、シリアまでを征服した。この地点で彼は
ようやく念願の中国遠征を企図しはじめる
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i──────┐ ヽ
| ⌒ヽ ⌒ヽ\ | | ←ティムール
| >|・ |─-|_ / 「元を倒した明を征伐する
j ーc ─ ′ ヽ のが僕の悲願だったんだ」
⊂____ /! _ノ
_(\ \ \ __/ /
(─ ヽ、 ` ─_──イ- 、
ヽ二_ノ \/|/\ / \
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このため、ティムールは西のオスマン・トルコを刺激しないように和平を求めるが
/ ̄ ̄ ̄ ̄\
l ∨∨∨∨∨ l ←バヤジット1世
| \()/ | 「ティムールなどと言う
(| ((・) (<) |) 犬に和平など必要はない!」
| ⊂⊃ |
| .| ⌒ \.l/ ⌒ | |
/ |. l + + + + ノ |\
/ \_____/ \
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// ̄ ̄(_) |
|ししl_l ( | |
|(_⊂、__) | |
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コンスタンティノープルでの勝利やセルビアの征服により増長するバヤジット
1世はティムールを犬と呼んであざ笑った
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/ ヽ /^ \
_ /________ ヽ (_/ ヽ
|ノ─ 、/─ 、ヽ | ヽ (_\/
,| \ |・ | | j ヽ `−ノ
. || 二 | | ̄ ⌒ヽ′ / / 「目にものを見せて
/ /ー C ` ─ \) _ノ / / やる!」
! ⊂──´⌒ヽ ノ/( / ノノ
\ \_(⌒⌒_) /! ヽ、/
` ,┬─_− ´/ ヽ /
/ |/ \/ く
(( /\ \ ヽ
/, ─ 、/ \ /\
. ( l l j \ ___ / ヽ
ティムールは激怒し、中国遠征を取り止めトルコへ向かった
1402年 ティムールは10万の軍勢をもって西進する。騎馬民族である彼らは全員が騎兵であった
___ , ── 、 「さあ、アンゴラへ!」
/ - 、 -、\ ゝ/______ヽ __, - 、
/ , -| ・|・ |-ヽ | | / −、 −、| /, ─── 、)
. i / `- ●- ′ | |__|─| ・|・ | // / ヽi 「略奪上等!」
| i 三 | 三 | ( ` − o− | |_| ┃ ┃ |
. | |. __|___.). \ ___っ ノ ( ⊂⊃ ヽ
ヽヽ / / /ヽ、__─、- ´ . >、 \__ノ ノ
━━━━o━━ /^\/\/ヽ / \─── ´ヽ、
.ィ⌒ヽ i⌒ii⌒i ィ⌒ヽ .ィ⌒ヽ i⌒ii⌒i ィ⌒ヽ .ィ⌒ヽ i⌒ii⌒i ィ⌒ヽ
((、、、(((\ニニニ/))), , ,)) ((、、、(((\ニニニ/))), , ,))) ((、、、(((\ニニニ/))), , ,))
_~l |(Θ)| l~_ _~l |(Θ)| l~_ _~l |(Θ)| l~_
( _.l l ⌒ l l._ ) .( _.l l ⌒ l l._ ) .( _.l l ⌒ l l._ )
\ I |i⌒i|. I / \ I |i⌒i|. I / \ I |i⌒i|. I /
⊂ニUl lUニつ ⊂ニUl lUニつ ⊂ニUl lUニつ
1402年7月20日 アンゴラ北方でついに両軍が対峙する
□ □ ■←セルビア騎兵
ティムール直属軍→□ □ □ ▲ ■←左イエニチェリ、右トルコ騎兵
□ □ ■←アナトリア騎兵
ティムール軍は騎兵が中心であるため、馬上から敵を弓で射るために右旋回を
行うのが基本である。そのため、左翼が持ちこたえている間、右翼が敵左翼を
破り、続けて左翼と共同で敵を包囲しなければならない
____
/ −、 −、\
/ , -|/・|・ヽ|-、ヽ ←ミラーン・シャー
/ / `−●- ′ | 「何とか、功績を挙げないと…」
/| | 三 | 三 |
| | | | ____)
| ヽ | / ̄ ̄ ̄ ̄ /
ヽ、 ━━━━o━━
| / __ ヽ \
. | | ヽ__/ | | ○
l \__ ノ !
ヽ______/
(___)___)
ティムールはもっとも重大な右翼を失政続きで名誉挽回に燃えるミラーン・シャーに任せた
一方のオスマン・トルコは征服したセルビアから呼び出した、ヨーロッパ最強
のセルビア騎兵を右翼に配置した
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/ , へへヘ∧ヽ
| | \l l/ | 「報酬は弾むぜ!」
/⌒ ( . ∠ l ヽ \
ヽ_ (二) ヽ 、─` `ー‐───┐
l ______つ ! > _____ |
>、 \|_|_|_/ /  ̄ l⌒ヽ\| ! ←ステファン・ラザロヴィッチ
/ l ヽ、 ____ /、 |・ | l/^ヽ | 「しかし、左翼の諸民族
/ ` ー──‐─ ´ \ o 、__ノ _ノ | から掻き集めた部隊は
/ | __(^| /⌒ ヽ < \ | 頼りない…」
/ヽ| (二 ヽ / | >__ ____ l
l \ /\ / /l/\/ヽ
`ー 、 ヽ / | |
戦闘は大方の予想道理、ミラーン・シャーの右翼部隊の突撃により開始された
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/ | ・| ・ | 、 \
// `-●-′ ヽ ヽ_ 「よし、損害に構わず
| 三 | 三 `(___) 敵をなぎ倒せ!」
| / ̄ ̄ ̄ ̄\/ /
ヽ\_(二二)_ / /
/━━(t)━ / /
/ (┌─┐) |
しかし、左翼のアナトリア騎兵は意外と強固に防戦する。また、ティムール軍
左翼はセルビア騎兵に押され続ける
/  ̄ ̄ ̄ \
( (、\ ヽ
| |) |ヽ\_ |
ノ -′ ) / 、─── ___
ミ └ 、 ノ /-、. >____ ̄ ̄| 「黒の総構えは伊達
> / '、_ ( \\ノ  ̄ |,/^ヽ |_ | じゃない!」
(ヽ\ /二二ヽ″ ._d |+ ノ ) |
三 | ̄ ̄ ̄ | ヽ_ `-_/^ヽ、\|
 ̄  ̄ ̄| ̄ | /_^ヽ_| ̄| |__|ノ/ヽ、
「 キャ 」 ヽ____|//> |  ̄ ̄ ̄/ \
_∠_____/ / ̄  ̄ ̄ / / /ヽ
/ \_ノ_/ ノノ (^\/ \/ ノ
/ ^ヽ/\/ ̄| ̄ | (_ノ /\ /|
\ / ! /ヽ / / | ┬⌒ヽ
ヽ、ノ \ ^ヽ __| ̄| `─┴、 |
ノ ノ ( __) | _ノ
だが、コンスタンティノープルからの無理な行軍が祟り、ついに左翼のアナトリア
騎兵は潰走し裏切りも続出する
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/______ ヽ
| ━ ━ | | 「…向こうにも仲間がいる。もう戦う理由はない」
| (・) (・) |__!
i ⌒ ) 「さようなら」
! ,−、 ノヽ mm
ヽ、 ヽ ノ / ノ\(ヽ、 |
/ l、二二二/ / \_ノ
/ ! | | / | |
| \| |/ ノ
左翼の崩壊により、右翼のセルビア騎兵も潰走。取り残されたバヤジット1世
は捕虜となった
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/ VVVVヽ 「ば、ばかな!王の俺様が!」
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( U ⊂⊃ ヽ ヽ /⌒ヽ
/  ̄ | /| ̄| ̄| ̄| | ̄/ , ──| |
\/ \`───´/  ̄/ | |
\  ̄ ̄ ̄ / / ̄ ヽ ノ
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\ _|___ ノ (___ )
こうして、アンゴラの戦いはティムールの大勝利に終わった
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ゝ/______\ / −、 −、 `\
/ | / ─ 、 ─ 、! //|/^|^\|- 、 ヽ 「敵も強かったけど、
| |_| | |/ `-●−ヽヽ \ ヽ みんなよくやった!」
| | |. ^ |^ | 二 | 二 ∪ ヽ i
V^` `ー− っー |(._─ | ─ __ | |
ヽ_ ヽ───⊃ノ ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / ! !
ヽ ヽ、_//、 \ / / /
>───イ \ ヽ_⌒⌒ヽ/ / /
/ \/ \/ |⌒ヽ-i ━━6━━━━━i
| ───┴┬/⌒ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ i
| _____|_ヽ_ノ────┐ |
この勝利は、オスマン・トルコの脅威に怯えるヨーロッパ諸国を狂喜させた。もっとも、
ティムールにとってはそんなことはどうでもいいのである。彼は中国征服こそが宿願
だったのだから。しかし
/ ̄ ̄ ̄ヽ
__ /ヽ)―- 、 l 「ゆっくり、お休み
,―γ ___ヽー、 q`´ハ ミ ヽ } ください…」
| ̄ ̄| | |(/),(ヽ)| | ̄ ̄| <_))_, | /
| ヽ (6 ー ) ノ | ヽ___/_ノ
-――  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄――- (t) ̄ ̄ ̄|
| ,―  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ― 、 | (/_ )/ / |
| | | | ( ) ○ |-o
| | | | `ー―― ´
| | | |
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「無念だ…もう少し、寿命があれば」
1405年2月18日 ティムールは明遠征のための軍の中で亡くなった。
ティムールの死により、明遠征は中止された。ティムールは子孫が一丸となって帝国を
引き継ぐことを望んたが、その後は分裂の時代となる。
チンギス・ハンに憧れた騎馬民族の男が夢見た中国遠征は、神の手によって永遠に機会
を奪われた。老帝の矛先に立っていた明の皇帝は中国史上屈指の名君とも言える永楽帝
であり、彼を迎え撃つには最高の人物だったのにも関わらず…
「ドラえもん、のび太とアンゴラの戦い」Fin