1914年 第一次世界大戦勃発、ヨーロッパは戦場と化した。
/ | /____ ヽ
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鉄や石炭と並ぶ重要な軍需物資のひとつが火薬であった。
当時の火薬の合成には、硝酸(HNO3)を必要とし、
大戦前、ドイツはその多くを、チリからの硝石の輸入により賄っていた。
「海上封鎖してやる。」 , ──‐ 、
/____ \
イギリス→ ┌‐───────, l⌒ヽヽ| ヽ
| _______ <. |. |─l、 |
. /⌒) | | / ⌒ W⌒ヽ! ̄ /、__ノ ||) ノ
ヽ、_ ノヽ /ヽl | ・|< ノ l ´\ /
( ( \ ヽ ` ー oー ´ フ ヽ、 `7 ←ドイツ
. \ 「| /⌒ ー─,─ ´  ̄∠二二l
/⌒ヽ / | ヽヽ二)_/ )⌒ヽ )) /^ヽ/^l ̄ ̄ ヽ
| | | 1⌒ヽ、 ヽ/ヽ/  ̄ ̄ヽ-イ / / |=| |
|─| |┴、ノ ヽ_ / | ̄ ̄ ̄ 「| / ヽ/ | | |
`ー‐′ \ ___/ | | | luuノ`ーl.___|____|
ヽ ヽ |______」_| / \ __/
/ー_/_ /、__/ /_/
(  ̄ ) _|__| _|__|
 ̄ ̄ ( )___ )
「もう硝石は  ̄ ̄
輸入させないからなっ!」
開戦後、海軍力に勝るイギリスは海上封鎖を実施。
ドイツへの硝石の供給を停止する。
____
>  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
> ________ |
 ̄ |/ −、 ─ 、 ヽ| | 「そろそろドイツの火薬も、
|| ・l ・ l | | 備蓄が切れる頃だ。
|| | ノ ⌒ヽ もう勝ったも同然だな。」
<_`ーo ー´_ _ノ
_  ̄) ̄ ̄/ /
=/ ┬'=(二)/- イ_
l ノ、 /|/\/ ヽ
ヽ \/⌒ヽ_/_/
しかし、いつまでたってもドイツの火薬が無くなる気配はなかった。
/´ ̄ ̄ ̄ `\ 「おい、ちっとも変わらねぇぞ!
/WWヽ ヽ
l l l ふざけんな!
// __|・ |/^ヽ | 話が違うじゃねえか。」
┌───── ´ ─ ( ) l |
│ _____ <. | ̄ く __ l_
│ | ノ/⌒ヽ/⌒ !  ̄ l / )、
/^ヽl | ‘|‘ | \ / / \
ヽ_ uヽ _ ノo、ノー ` ー── / /
「そんなはずは・・・」
実はドイツは「空気」から火薬を作っていたのである。
その立役者となったのは一人の科学者であった。彼の名はフリッツ・ハーバー。
時はさかのぼって1909年、ドイツの大手化学メーカーBASF社
___ 「じつは…。」
ゝ/____\ _____
/ | / ─ 、− 、!´- 、 − 、 \
!___|─| ‘|< |./・|・\ |− 、 ヽ
( ` − o −|` -● −′ \ i
入 3ノ─ | ─ i |
/ヽ-、` ┬┬ ィ´ 二 | 二 | !
| (/`v二)| ヽ / ̄ ̄ ̄ \ | /
ヽ_入 _ ノ \ヽ____) / /
|───┤ ○ ━━6━◯━━ヽ
|____| \|/ _____\ ヽ
| | | ! ヽ__ノ ! |
|__||__| >、 ___ ノ ノ-o
__|__||__|_ (___.ヘ ___/
(__ ノヽ__) (___(___) ←フリッツ・ハーバー
「フン… フン…。」
___
ゝ/  ̄  ̄ \
/_______ヽ 「エエッ、500℃・200気圧で
\ | | , ─ _ヽ/_─ 、 | | 空気を水素ガスと圧縮すると
| |_| / o|o ヽ |_| | アンモニアができる!?」
─ (^| | j/ | \| j |^) ─
(⌒ ` ─ ヘ ─ ´⌒)
\_/ ̄ ̄\_/ \
/ | | | | | |
| | | |. | | | |
| | _|_|__(⌒v⌒)_.|_|_ | |.
| | ヽ、__ ̄ ̄ ̄_ノ
/▽▽\
| | | |
アンモニア(NH3)があれば、硝酸を合成するのは容易いが…
, ──── 、 , ──− 、 「きみは、思っていたより、
/ /⌒ヽ⌒ヽ\ /____ \L ずっとばかだな。
/ , ─| ・|・ | 、ヽ l´⌒ヽ\| ヽ 理論上は可能でも、
./ / ` ー ●ー′ `ヽ |・ |─l,−、 l 200気圧なんか出せるわけ無いだろ。」
l / 二. | 二. l c 、__ ノ l !
|. l ─ | ─ l ( _____ ノ /
l l | ! ヽ `ヽ \ /
ヽ ヽ /´ ̄ ̄ ̄`\ / 、ー┴─′ l
ヽ ヽ /  ̄ Z.二二.]
〉━━━━━, -、━く (二(二ヽー─/ /⌒ヽl
. l 、 / ヽフ `ヽヽ l三) ノ__l ヽ l l
| ヽ l.^ヽ  ̄ | l | |
___ ___
/ - 、- 、\ /___ \
/ , -|/ ・|∠ !-ヽ |− 、ヽ | i
i / `- ●-′ i. |・ |─|__ !
| i 三 | 三 ) d ー ′ 6) /
. ! | / ̄ ̄ ̄/ ̄ ヽ、 ヽ/
ヽ ヽ ヽ(二二)_ ☆ /二二ヽ
l━━━o━−○/″ | |⌒| |
|  ̄○| ̄ ̄ ̄ ̄i. | | | |
 ̄  ̄ ̄ ̄ ̄
「それができるんだよ!この実験装置なら。」
「へえっ、どれどれ?」
____ ____
/ −、- 、\ /__ ヽ
/ , -| ・|< |-ヽ |−、 ヽ | i
| / ` - ●-′ | _⊆⊇_. |. |─ |__ |
| | 三 | 三 !. | | d− ′ ) /
ヽヽ \__|_/ / _| | └── \/
━━━━o━━-(└,─ ┘ _∩ ` ─,──ヽ
| / ヽ |/~ ∈ ) ̄ / ̄ ̄ ̄i
 ̄  ̄
「ほら、 このできた液体の臭いをかいでみなよ。」
_____
ゝ/ \ /
/ _______ヽ
| | : : : : : :\_人ノ: : :| /
| | : : / ⌒ ヽ: :/ ⌒ ヽ
/^v─ i | | 「 この臭いはまさにアンモニア!?」
(( |:d: :♯| ((・|・)) !
ヽ: : /^ヽ、 _ ノっ _ ノ−、
|: :| \_/^\/^\_:ノ
|: :| ∬∬ ツーン
/⌒\ヽ (⌒ヽ⌒) ))
| \\_/^\_/ノ _____
| \─┬─ ´ | | _|_
|. \. \ | \ | | (_)
| \ \./ ̄ ̄) | (_)
\ /  ̄) | |
___
/´ `\ 「すごいじゃないか」
ゝ/ _____ヽ
/ | / / ⌒ヽ! , ──── 、
l |_ | | //⌒ヽ ⌒ヽ \
| /| |ー| (| / | ・|・ |− 、 ヽ 「そう、だからあとは
ヽ ヽ| | ヽ_ ノo // `ー●ー ′ \ ヽ 工業化の問題だけなんだ。」
\ ヘ /` つ _/ 二 | 二 ヽ l
| ( ̄ ̄ ( _ ─ | ─__ | |
/──- 、__ > l ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / l !
/ ̄ ̄ ̄ \ ヽ \ /´  ̄ `ヽ/ / //⌒ヽ
/ ヽ \ ヽ、 ___./ / / ヽ __ノ
l |__| /⌒ヽー━━,-、━━━━━ ´ ノ
| | | ヽ__ ノ_l / ヽ.フ \ /
その後、ハーバーとボッシュは工業化に成功し、
1912年にはBASF社でアンモニアの量産が開始される。
, -─── 、 /
ゝ/ _______\ /
/ | / ヽ|
/ | / ⌒ ヽ/⌒ヽ|  ̄
| |─| (・|・) |
V⌒` ヽ | ノ 「空気から火薬を!
/  ̄ ̄) |\`ー─ ヘー つ 祖国に勝利を!」
| 二 | | `ー─┬─ ´
| ノ、 \⌒ヽ⌒)_ ( ⌒\
/` ー/ヽ ヽ、 二二二ノ ( _)、 ヽ
/ / \/\/\ l ー ノ
ヽ_ / \/ \ _/
このハーバーボッシュ法により、
戦時中、ドイツは輸入に頼ることなく、火薬を自給することが可能になったのである。
そして、1915年、ベルギー イープル…
「ちくしょう、早期勝利どころか
戦線が膠着しちまった。」
____
/wwww、ヽ 「ドイツでは。
l 0''・) |_| 空気から火薬を
/ ⊂⊃ ) __ヽ\ ____ 作ってるって聞いたよ。」
l⊂_ /⌒ヽ ノ > ______ l
>、`┴┴┴'/\  ̄ l/^ヽ⌒\| |
//  ̄ ̄ ̄ ヽ l、 ・|・_ノ l_ j っ
/ 7 \/ ヽ ∠_ ^ _) っ
l l ヽ l >__/>、
l l | | ,-、__/lヘ/、/ヽ
(_l ( _ノ ( ) __|__| |
、、=@ 〉ー─────‐〈  ̄ ノ_ ∈ノ
l , ─ 、 l / / | ̄| 、、
_l__ | | ___| 、、,, _|_| \ ノヽ
、、, ( ___ ) ( ___ ) (__) ( _ノ 、、,,
/; ;⌒;⌒ ;\
/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;)
(; ; ; ; ; ; ;ノ; ; ;\ ; ; :)
(; ; ; ; ;丿; ; 3 3; ; ; ; ;) モワーン
(; ; ; ; ; ; ; ; ──; ; ; ; ; ;)
(; ; ; ; ; /; ; ; ; ; \; ; ;)
(; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; )
(; ; ; ; ; ; ; ; ;/ ; ⌒ ; ); ; ; ; )
(; ; ; ; ; ; /; ; ; ; ; ; ;丿; ; ; ; ; ;)
( ; ; ; ;⌒ ; ; ; ; ; ; ;ノ ; ; ; ; ; ; ;;)
_____
>____ |
| o|o | |_|
─ -o - ′ r)
う、い、息が…  ̄| ̄| ̄| ̄||
___ ─┬┬__′
/ VVVVヽ /^▽▽ ___l
|__| ○ ○| _ /ヽ| | |
( ⊂⊃ ヽ ヽ /⌒ヽ ∈ /| ,-、 | ∋
/  ̄ | /| ̄| ̄| ̄| | ̄/ , ──| | ( ̄| ̄/ l ̄ )
\/ \`───´/  ̄/ | |  ̄ `-´ ̄ ̄
\  ̄ ̄ ̄ / / ̄ ヽ ノ く、苦しい、助けて…
\ / / |
\ / /|__|__
\ _|___ ノ (___ )
━ ┃┃ ━ ┃┃ ━
ミミ ━ ━ ━━
ミミミ━━┛╋┓ ━━┛╋┓ ━━┛
ミミ _____ 彡彡彡彡彡彡
ミミミ / / \|/ ヽ \ 彡彡彡彡彡
/ /| 0|∠ |ヽ ヽ、 彡 ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
ミミ. | |\ `−○-´ /| | <
ミ | /| |\ 三|三/| | | _ < フハハハハ
ミ | | |_|__|\_|/| |__| | |_| < 塩素ガスの威力を思い知ったか
| | | | | ̄ | ̄| ̄| / / (___ ノ ∠
ミ __ ヽヽ\_/ ̄\___// / / ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
ミ(___)−===(T)== / 丿丿
ヽ__ / ヽ | /
このころハーバーは既にアンモニア製造から離れ、
毒ガス兵器の製造に携わっていたのである。
, ─ 、 _
/ \ /´ \
l , ──`──-'- 、 ヽ
l/ ────- 、 \ |
// ヽ \ ヽ. l
/ 、、 , 、、, ヽ ヽノ
l /⌒ヽ /⌒ヽ ヽ ヽ
l | ゚ l | | ゚ l | l l 「あなた、お願いだから、
l ヽノ.ノ_. ヽノ_ノ | | 毒ガスの研究はやめて!」
| U O U l l
l / | /
ヽ ヽ、_, ─ 、 l /
ヽ_________/___/
lー──,−、──────l
| / ヽTノ \ | ← ハーバーの妻
______
. / /⌒\/⌒ヽ
/ , −| ・|・ |、\ 「何を言うか!
/ / ` ー ●ー ′ヽヽ 強力な兵器こそが、早く戦争を終わらせるんだ!
/ / 二二 | 二  ̄ノ ドイツのためになるのなら何だってやるぞ!」
l / /⌒\ ── | ─ /
| | /  ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄
l | | / /⌒ヽ
l | ヽ /⌒ヽ⌒ヽ |/ヽ__ ノ
ヽヽ `ー───┴─7 /
>━━━━━O━━ /
妻の説得も愛国者ハーバーを叛意させることはできなかった。
そして悲劇が訪れる…
____
/  ̄ \
/ ヽ
/ |
i | 「つ、妻が…自殺してしまった…」
| , -===- 、i
| / ヽ
ヽ / | |
|_| |_|
(.__.) |_)
│ -● |
| | |
⊂二二⊃⊂二⊃
そして、1918年、ドイツ敗戦。
「ハーバー博士、戦犯として逮捕されるらしいわ。」
ヽ l / ヽ l /
, ───- 、 , ── 、 /⌒  ̄ ̄`\
/ ノ/ヽ ゝ/_____\ ( (-、\ ヽ
/ , −─| (l / |// ⌒ヽ⌒ヽ | |) | |_ |
l / `ー ● l |─| (・|・) | ノ ー ) /
l / 二二 | Y⌒ ` ー ヘーヽ └ 、 \、 /ヽ
| l ── ___l ヽ_ /⌒\_/^) ) | ヽ\ノ
l | / ̄ ̄ ̄ ̄ / /´ ヽヽ___ /  ̄/二ヽノ、
ヽ | ヽ、 ___ // /_/ヽ/ヽ/_l __ / ) |_|
〉━━━━━━O / / / / ⊂´ _\/ | |
/ / | __/ /──/ / (/ ノ‐──l、j
(( l | | ┌──|∈ ノ___ l.∋ / \
| | |ヽヽ、 __l.  ̄U\ \ \ ` ┬‐┬ ┬‐′
ヽ ◯ ` ー─/⌒ヽ __ /ヽ_/、_/ | |_|
Oヽ、 _____| | l ヽ__ /、_/_ | ̄ | |
`ー ′ \ _ )_ ) __|_ |ーヽ
「えっ。」 ( __ )─′
, ── 、
/ \
/ ヽ
| |
ヽ / 「きっと毒ガスで殺しすぎたのね。」
_______ / l\ へ /l⌒ヽ _____
| | | ( _ ノーj__l−´\ノ |
| | | 、 _/ `\ |
| |∈  ̄ ヽ, l、 ヘ |
| | | ̄  ̄ l_____l | | |
| | | / \_) |
| | |. < _____ > |
| l l. l l ヽ ヽ , ──── 、
| /´  ̄ ̄ ̄`\ | | |_| /ヽ\ U ヽ
ゝ/ ______ヽ |ー| |_|_ /)) ノ ─ 、 \
/ | ノ / ⌒ ヽ! _.|_| ( _●ー ´ # \ ヽ
| |__l ((| __) | ──U ヽ l
| /⌒ U#!| l | ── / ⌒ヽヽ U |
ヽ ヽ _ `ー─ ´Z lー── ´ | l l
\ / /⌒ヽ__ノ ヽ\ l | /
ノ ヽ(二)_/ U ヽ\ ___ ノ | /
/二二二ヽ──´ O━━━━━━━━く
/ `ヽ / ヽ
「向こうだって毒ガス使ったくせに…」 「…」
そのとき一本の電話が…
, ── 、 ____ 「もしもし、ハーバーですが、
ゝ/ _____ヽ /´ ,− w -\ 覚悟はできてますよ!
/ | ノ − 、 −、! / , -| ・|・ |、ヽ え?違う?ノーベル賞!?」
. | |-┤ ・|・ | / / ` ー ●ー′ ヽ ,−、
/⌒ ー‐ ヘ-ヽ l / 三 | 三 フ_) l ))
ヽ_ /⌒ー┬ ノ mn | l /⌒ヽ、__|__/ (⌒ヽ __
─‐ 〈ヽ_`ー_─´/∩−l l | l l /ノ`┬′/ー─イ ヽ
_ ノ \/ヽ/ ̄ ̄ヽ__ノ /⌒ヽ | | (⌒ー⌒) |/ (_)ノソ)/(( _)) | |__
/ / ̄ ̄ ̄ ヽ_ ノ\ ヽ、_____l__ / /l___ //l
./、___/ /⌒ヽ (( \ ` ━━━O━━イ / l二二二二二l/1
/ ̄/ ̄ / ヽ / _____ヽ |′ | ┌──┐ | |
>-──'─┴ 、 __ / | | ヽ、___ノ l l | │ │ | |
───‐‐// ─────‐ Oヽ ヽ、 ____. ノ/ ──‐| │ │ | | ─
. // ヽ___l.__/ .| └──┘ | /
(___ ノ、__)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1918年のノーベル化学賞をハーバーが受賞したのである。
「アンモニアのおかげで肥料の心配をしなくてすむ。
おかげで食糧の増産が可能になったんだって。」
, ─── 、 _____
ゝ/______\ / −、 −、 `\
/ | / ─ 、 ─ 、! //|/^|^\|- 、 ヽ
| |_| | |/ `-●−ヽヽ \ ヽ
| | |. ^ |^ | 二 | 二 ∪ ヽ i
V^` `ー− っー |(._─ | ─ __ | |
ヽ_ ヽ───⊃ノ ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / ! !
ヽ ヽ、_//、 \ / / /
>───イ \ ヽ_⌒⌒ヽ/ / /
/ \/ \/ |⌒ヽ-i ━━6━━━━━i
| ───┴┬/⌒ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ i
| _____|_ヽ_ノ────┐ |
「よかった、これからもドイツ復興のために力を尽くすぞ!」
敗戦にうちひしがれたドイツ国民にとって、ハーバーは誇りであり、
また、ハーバーも今まで以上にドイツ復興に全精力を注ぐのである。
しかし、歴史にまたもハーバーは翻弄されるのである。
1933年、ナチスが政権を掌握。
__, - 、
. /, ─── 、)
// / ヽi 「政権をゲットしたぞ。
|_| ┃ ┃ | さあ、ユダヤのブタどもを根絶やしにしろ!」
( ⊂⊃ ヽ
>、 \|||||||ノノ .nm
/ \─── ´ヽ、 /)- |
/ \--/ |  ̄|_ノ
| / | || ←ヒトラー
ナチスは、アインシュタイン、マンなどの著名なユダヤ人を
軒並み国外へ追放していく。そして…
, ─── 、
/ `ヽ
/ / ) ノ) ノ) ノ 「ハーバー博士、国外退去して頂きます!」
/ /// ⌒ ヽ ⌒ヽ!
. l |─┤ | |
Y⌒` ヽ ’ノ、’__ノ)
_ヽ_  ̄ 7 !
>__\ 〈⌒ー‐┬' ノ
_/、` ー‐┬‐´ ´ /つ二)
ノ \ ̄ ̄ノ`^ ̄ ̄ ̄ ̄l (_ノ ノノ , ───‐ 、
/ / |  ̄ | |‐─── '  ̄ /ヽ \ 「えっ!」
/ / | | | / / /‘ ノ、 ヽ
/ / | | l / / ●ー ´ \ ヽ
/_ / | | | / / l ー─ ヽ l
./ ヽ___」ー─|__j / 」 二二 ヽ l
ヽ_ _j l / / | l
`ーl | `ー、─- 、 | ____ /
| | ヽ \ l /´ `ヽ
. l______l \ / // / ヽ
| | | | l━━━━l l // //. l
| | | | l \ | | // // |
| | | | | ヽ、/⌒ヽ二二) // ____l_
l ! | | | ヽ _ ノ |/./ ⌒ \ヽ
. | | ノ `ー─ 、 l /ー ──ヽl __」 l l
/ )ヽ ___ ノ l___lー───lヽ ノノ
( / ( ___ヽ、 ノ`(二二二 )
 ̄  ̄ ̄
ハーバーもまた、ユダヤ人であったため、国外へ追放されることになる。
「さあ、とっととドイツから出て行け。このユダヤめ!」
, ──── 、
. / /⌒ヽ⌒ヽ、
/ , ─| /・|・\|、
\ l / / / U `ー ●ー′ヽ 「は、離せ…
\ l / ─ | ─ | 私はどこへも行かないぞ!」
\ `─− 、 | l /⌒ヽ二 | 二 _|
\ l | | l━l | /ヽ_ ノ___|___)ヽ
ヽ.┗┿━┿━/ // /ヽ_ノ
 ̄ | /━━/ ⌒ヽ/⌒ヽ/
/ l ヽ | | ┌/| | |
☆ l ヽ/ ヽ、__ ノヽ.__ノ
ヽ / /
ヽ /
` ──┬─‐ ´
●
アインシュタインの追放は全世界に衝撃を与えたが、ドイツを嫌い・半ば憎んですらいた
アインシュタインと違い、ドイツを誰よりも愛していたハーバーの追放は、アインシュタイン
の追放以上の衝撃をドイツ科学界に与えたのである。
そして、翌1934年、ハーバーは異国スイスで、失意のうちに客死する。
____
//・|・\|、.\
//`-●− ′\ \
/ ─ | ─ ヽ│
_| 二. | 二 | | 「誰よりも祖国のことを愛した私が
(___|__ !│ そのドイツによって国を追われるとは、
ヽ  ̄ ̄ // 何という皮肉…」
ヽ━6━━━━\
| /___\ | │
, ┴ 、, ─ 、 ノ j | │
| | | ̄ ○
ヽ __ノヽ__ ノ__/
ドイツ科学界はその死を悼み、ナチス政権の制止を振り切って、
盛大な葬儀を行ったのである。
ドラえもんのび太のフリッツ・ハーバー物語 完