これで完結「ドラえもん、のび太とハンニバル伝説」(下巻)
カンナエの壊滅的な敗北により、ローマ人たちは絶望的な気持ちに襲われた。一説
によれば、人身御供も行われたと言う
ゝ/´  ̄ `\
/ ∠´ \ ヽ
/ / -、 -\l
l __/ | (| |(| l
( ー ゝ´ヽ 「ほらね。僕の戦略は間違っていなかった」
. Lヽ. ヽフ ノ
>ー─‐<__
/ l/ヽ// ヽ ヽ
l_| | |__| |
| |二二ヽ| |. |
| l_____| |_|
l l / l
元老院はファビウスの考えが正しかったことを悟り、ファビウスを執政官に向かえた。
彼は従来通りの持久戦を展開してカルタゴ軍を疲弊させる
また、ローマ軍は紀元前218年にはハンニバルの本領とも言えるヒスパニアに侵攻。
プブリウス・コルネリウス・スキピオとその兄が指揮を執った
__, - 、
. /, ─── 、)
// / ヽi
|_| ┃ ┃ | 「さぁ、ティキヌスでの汚名を
( ⊂⊃ ヽ 雪ぐぞ!」
>、 \__ノ ノ .nm
/ \─── ´ヽ、 /)- |
/ \--/ |  ̄|_丿
| / | ||
ハンニバルもヒスパニアを重視。弟のマゴを援軍として送った
\\\ /⌒\ , ─ 、
/___ヽ / ヽ\\\
/  ̄  ̄ ヽ. i
\\ /  ̄ ̄ ̄ ̄ \ \ | 「雑魚すけが!返り討ち
/ へ /ヽ ヽ ヽノ にしてくれる!」
/ /^ヽ /^ヽ ヽ ヽ \\\
|. | 0 | | 0 | | i
\\| `− 6 `−′ |. |
! ! !
ヽ /  ̄ ̄ ̄ \ / /
\ \_ (⌒ヽ丿 / /
━━━6━━━━━ヽ、
/| / ___ \ /⌒ヽ
(⌒ | | ヽ ノ i ` ┬′
やがて両者は激突するが、この戦いはローマ軍に加わっていたヒスパニア兵が
ローマに謀反を起こし、あえなくローマは敗退。スキピオ兄弟は戦死した(ベティスの戦い)
,−、 __
(────、ヽ
ゝ ─── 、 // \ | |
/ ______ヽ | / ヽ l_ | 「父さんはここまで。
| | / −、− 、| / ⊂⊃ # ) あとはお前たちの時代だ」
| _|─| .|. | !⊂___ ノ\
( `ー o ー | \ヽ__ノ / \
\ ___⊃ / `───/ ヽ ))
/^| ヽ_─┬、′ / \/ i
/ \/\/ \ / / # !
/ /| |ヽ \⌒\/⌒\ ノ
↑プブリウス・コルネリウス・スキピオ・アフリカヌス・マヨル
「まぁ、なんとかやってみるから安心して眠ってよ、父さん」
あとを継いで紀元前210年新司令官となったスキピオの息子プブリウス・コルネリウス・
スキピオ・アフリカヌス・マヨル(以下、大スキピオ)は卓越した軍人だった
──── 、=@ \
/______ ヽ _ ,- 、,− 、 __
|− 、─ 、 ヽ| | // | \.i \ 「ああ、ヒスパニアの首都
| ^|^ |─|__ / /! (0|0) ノ−、 ヽ が…」
|−c ─ ′ r) __|  ̄● ̄ \ ヽ ──
| ̄| _ヽ└─┐ ノ \ 三 | 三 ヽ |  ̄ ̄
| ⊂_| `(_'/──、'  ̄| ̄ ̄ ̄ ̄\ | | ──
 ̄ ∈ | ̄ ̄ ̄ )| |(二二) ノ | __ !
 ̄ ̄| ̄ ̄ | __==(__) ̄ ̄ ̄ ~~\ ──
|____| (__)___ヽ  ̄ ̄ ̄ヽ ヽ
/  ̄| | ,−、ヽ ̄ ̄ノ | ヽ-o ──
(⌒` ヽ/ ̄ ̄`┬─l | |ヽ二二ノ .|^ヽ  ̄ ̄
\ ノ | └─⌒i (( ヽ__ノ ────── !__ノ
`─┴┐ 丿
「へへ!カルタゴ・ノヴァはいただいた!」
紀元前209年、大スキピオは奇襲によりヒスパニアの首都カルタゴ・ノヴァを占領
カルタゴ・ノヴァは当時、ヨーロッパでも随一の職工の町であり、ローマ軍はここで
武器を生産しハンニバル軍を圧倒し始める
, -──− 、
/ _ \
/ /_\ |\ ヽ
j / .−、_ V - 、ヽ| ←ハスドルバル
/ __/ | |' | / | |' | | 「いけない!このままでは…」
/ i r  ̄ _  ̄ |
/ `- 、 _ !
/ ヽ、_ _./i
| ___j┴-- ̄-、._ノ
| /ヽ `───┘ \
!./ |__ j^─、.__l ヽ
. | | l^ ノ | |
紀元前208年 焦ったヒスパニアの責任者ハスドルバル(ハンニバルの弟。カンナエの戦い
のハスドルバルとは別人)は分散していた味方との合流を果たそうとするが…
, ──── 、
ゝ/ _______ヽ
i | / /⌒ ヽ/⌒ヽ
| _| _| ・|・ |__ 「ここは各個撃破だ!ハンニバルは
, ─i 、 ヽ __ o__ ノ ヽ トラシメヌス湖でそう戦った」
! `-、 | !
\ ヽ、 ──┘ ノ /
\ \二二へ二ヽ/
\ | |
| |
大スキピオは合流前のハスドルバルの軍勢を破った(ベクラの戦い)
ハスドルバルはこの戦いの敗戦により、ヒスパニアを放棄。ハンニバルの元に
向かう
,,, ─- 、
// / __ ヾ
/ __ / | /\l
. / ( −|/ −| ))
| \ ノ 「残念だが、再起を図ってイタリアへ向かう。
|| | /ヽ` −、´ かつての兄と同じく、アルプスを越えるのだ」
| /  ̄ ̄| |
!/ / ノ | ||
/ /___/| |
(( (⌒ヽ/ | |__|
^/_____| ヽ,,)
| | |
// / /| | ||
_./ ヽ/ | -|
| ヽ/ |_|__
ヽ =| (_゙_)
しかし、ローマは以前の戦訓からアルプス側に兵力を貼り付け待ち伏せていた
___ /
─ |‐──| _
く二二二二>
/ /_\ll/| ←ガイウス・クラウディウス・ネロ
l _/-ヽ__ | ̄7 「ハンニバルの真似か?
/|( __、二⊃_ 馬鹿の一つ覚えって奴だな!」
l レ| l /,┬┬┬′
/l ヽ、∠ ̄ ̄ ̄_フ ___
. | \_\/▽7 ̄」| _| l二l─lj
ヽ ∠ \l/ <´ ー./⊃⊂) ̄
ヽ  ̄// /、_| |_(_ノ
紀元前207年 メタウルス川にてカルタゴ軍は待ち伏せていたローマ軍に敗北(メタウルスの戦い)
// ii ─ - 、__
/ ____\
ii/ //,-、_i `
. .. 丿 ji __/ || '| |i
// / (  ̄ ┐ 「兄には及ばなかった…」
/ii ) ┌
^/ /⌒ヾ/、.┌─ ´
二二 ii j / | |\ ヽ、
_ ii__/ | | ヾ/i
_i i\i i \ | | ノ |
\ \i i`ヽ| | /! |
─ii  ̄ ̄ヽ、 ヾ | | | | ii
____ ノ ,| ̄\ |─ヽ..
この戦いによりハスドルバルは戦死。首は剥製にされ、ハンニバルに送られた
___
/  ̄  ̄ \
/ ヽ
/ |
i | 「そうか…弟は逝ったか…」
| , -===- 、i
| / ヽ
ヽ / | |
|_| |_|
(.__.) |_)
│ -● |
| | |
⊂二二⊃⊂二⊃
この戦いの敗北により、ハンニバルは完全に本国から絶たれ、勝利の可能性はなくなった
一方、ヒスパニアを征服した大スキピオは本国で英雄として迎えられた
___
ゝ/____\
| | / − 、−、| 「これで、僕も執政官かな?」
|__|─| ^|^ |
( `− o− !
__∩ ヽ、 \ ̄/ノ ∩__
∈ | ̄ ̄ ▽▽ ̄ ̄| ∋
 ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄
__ |___ |
─── i |
-、___>─┬ く´ヽ
/ | / |─|_
| __/ ̄ ̄ (__ )
彼はまだ、執政官となれる年齢に達していなかったが、特例として紀元前205年に執政官
に任命される
/ ⌒ ⌒ \ 「いや、本土のハンニバルが先だ!」
/ ∠ \ ヽ , ──- 、=@
. | / -、 -\j /__ ヽ
|__/ | ・| |・| | |−、ヽ | i 「直接、カルタゴを叩くべきだ!」
( r ゝ l |ヽ |─| |
. \ , ノ d−′ ||) /
┌──┐ ヽ ̄) \ヘ/
/ヽ ̄ ̄ ̄ ヽ ` ┬──┐
| |==D=| | _∩ _/ ̄j ̄ ̄|
| | | | ∈ | / |
しかし、カルタゴへの直接侵攻を主張する大スキピオはファビウスらと対立してしまう
結局、大スキピオのカルタゴ本土上陸案は元老院で却下され、何もできないまま
執政官の地位を退く
___
/ ____\
ゝ/ | ノ/⌒ !
/ |_| .| 「若いからって馬鹿にして!
| /^` ヽ_ ノo もう、老人の時代は終わった
ヽ ヽ /⌒\_つ んだ!」
\/ | _
ヽ `──, ( )二l
j二二ヽ ̄ / `-ノ
─── / ⌒ | ̄| ̄ /
/\/ |-┴−´
__ / / | |.
── ( ) |───┤
─── ̄ | /ヽ、
>─┬ヽ、 \ __
/ ノ \ \/ )
───(⌒ / \ /
) | `−′ ───
─── ヽ、__ ) ───────────
その後、大スキピオはシチリアへ派遣され、その地で軍隊を徴募した
紀元前204年 大スキピオはプロコンスル(前執政官)として軍団を率い、北アフリカ
のウティカへ上陸
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ ,∨∨∨∨∨
/ / / \ | 「馬鹿め!また痛い目に
| / ,(・) (・) | 合いたいのか!」
(6 ⊂⊃ |
| ___l_,|
| \__/ /
/| /\
カルタゴ軍はこれをヌミディア軍と協同して迎撃に向かったが…
_ __ っ
/ ⊃vvv | っ
| C>。(:) 6)- 、 ))
/~「(二つ ノノ^゙)ヽ
|.γ  ̄ ξ/\ノ | 「くっ!前より強いぞ!」
ヽ| |/ / ./
/^^^ / _/ ノノ
/ /| ̄ |
, ―、 /  ̄ ヽ /__||___|
(__  ̄| ̄ ̄ ヽ/⌒)/(__(__|
 ̄ ̄ ̄ ̄/ _ /
( ̄| )
十分な装備と訓練が施されたローマ軍に一蹴されてしまう
大スキピオはさらにヌミディア本国へ侵攻し、ヌミディア王シュファクスを捕縛、自身の
保護下にあったヌミディアの王子マシニッサを王に即位させ、ヌミディアを支配下においた
___
/ wwwwwヽ
l | ノ \ l 「分かった…これからはローマに従う」
/⌒ U ( ・ ∠ ヽ , ── 、
ヽ_ 、 (二) ヽ /____ ヽL
l l \__l_> | l ⌒ヽ\| ヽ 「さぁ、どうする?」
/ヽ ヽ、 / ノ |' |─l- 、 l
/ \ヽ、  ̄ / c 、__ ノ l l
./  ̄  ̄ ̄ ̄ l`ヽ ,−、 ノ く /
l_|(_)、 ヽ `ー、─- ヽ/
/ | /ヽ ノ ` ー,───(
___/ l / /l/ \ / \
//ヽへへへへヘ/ヽ|、_ / /、| 、/ヽ
ここに、ハンニバルの騎兵戦術を支えたヌミディアは離脱、カルタゴに反旗を翻した
一方、危機感を募らせたカルタゴ本国はついにイタリアからハンニバルを召還する
,,, -──- 、 ∩
( ( ( ヽ ヽ ( )
. __ |ノ-、 -\ヽ | ヽ/
. (___)、 | ・|・ |-|__/ /
____ \ \i`- 。 ー ′ 6) /
/ \ \ ヽ、ヽ ̄ ̄) ノ>/
/ ノ -、 -ヽ ヽ \ ~ ▽▽ヽ /
/ , -|/'|< |-、 | | ノ
○/ ` - ●-′ | | | 「お前がボヤボヤしている内に、
. | | 三 | 三 / )───| ローマが攻めてきたじゃないか?」
| | /⌒\_|/^/ / |
| |━━━(t)━━、 | |
| /__ ヽ |_| i____|
. i l ヽ___/ノ j_) | | | |
ヽ ` ── ′/. | | | |
⊂二⊃⊂二⊃ ⊂二 ) ( 二⊃
「散々、邪魔してきたくせに…」
とは言え、もはや彼以外にカルタゴを救う人間はいなかった
和平への努力もあったが、最終的に決別。カルタゴはハンニバルに約5万名の兵と80頭
の戦象を率いさせて派遣し、スキピオも約4万名の兵を率いてヌミディアからカルタゴへ兵
を送った
⌒ヽ
( ⌒ ヽ ( )
, ─ 、 ( ) ー \\ , -───- 、
(_l_l_l_ j /// /ヽ \ 「生意気な小僧が!
ヽ ⊂ノ , ──- 、 /<ノ── 、 ヽ 蹴散らしてくれる!」
| |/ ______ヽ /^)、 _●ー ´三 \ ヽ
| | | ノ ⌒ヽ⌒ヽ| /⊃ヽ_) ( /⌒ヽ ヽ |
| | |─| >|< |/ _ノ  ̄ ̄ i | |
|__|⌒ `ー o ー| / __| ! !
| |、 /⌒ー──つ/ ( ! / /
| |ヘ ヽ、(二)ノ</ __ _`_ノ / /
| \/\// ( __)━━━━━━━l
/ / \ |
「そっちこそ!老人にはご退場願おう!」
こうして、両者はカルタゴの都市ザマ近郊で対峙した
ローマ軍
□□□□□□□□□□□□□□□□□
△△ □□□□□□□□□□□□□□□□□ △△
□□□□□□□□□□□□□□□□□
∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪∪
●●●●●●●●●●●●●●●
■■■■■■■■■■■■■■■■■
▲ ■■■■■■■■■■■■■■■■■ ▲
■■■■■■■■■■■■■■■■■
カルタゴ軍
□ ローマ軍重装歩兵 △ ローマ軍騎兵 ∪ ローマ軍軽装歩兵
■ カルタゴ軍歩兵 ▲ カルタゴ軍騎兵 ● カルタゴ軍戦象
なお、ハンニバル軍は後述するように歩兵を、一列目に傭兵、二列目に市民兵、三列目に
古参兵と配置している
ハンニバル軍は歩兵の数では優勢だが、士気の低いガリア人傭兵も混ざっており、質ではローマ
に劣っていた。そこで、陣形に工夫を凝らした
, ──- 、
/ \
/ ヽ 「やむを得ない…。頼りにならない兵を前面
| | において敵を疲弊させた後、最後尾の古参
. ! ! 兵を投入するか…」
\ /
○━━━━━l
( _ |
_|_| |
( ●ノ
一方、大スキピオ率いるローマ軍は騎兵戦力が圧倒しているのを利用し、歩兵と騎兵の組み合わせ
により、敵を包囲することを目指した
____
/ \
i──────┐ ヽ
| ⌒ヽ ⌒ヽ\ | | 「ハンニバルにはカンナエと同じ戦法で
| >|・ |─-|_ / 引導を渡してやる!」
j ーc ─ ′ ヽ
⊂____ /! _ノ
_(\ \ \ __/ /
(─ ヽ、 ` ─_──イ- 、
ヽ二_ノ \/|/\ / \
\
皮肉なことに、カンナエからもっとも教訓を受けていたのはローマだった
紀元前202年10月19日 運命の戦いが火蓋を切った
____
/ - 、 - 、\
/ , -| ・|・ |- ヽ
i / ` - ●-′ i. 「よし、戦象隊、前へ!」
. | | 三 | 三 |
! | \.___|__ノ /
\ヽ \___/ / ◯
━━━━o━━ /
| / ヽ |
ハンニバルは戦象を突進させるが…
, ─── 、
/_______ ヽ=S
(( |/ ─ 、 ─ 、\ | ヽ
| | l | | 「馬鹿め!こんなこともあろうかと、
| / |ヽ !─r-、ノ 部隊の間隔を空けておいたんだ!」
(^ヽー ヘ ` ー ´ノ| 6 !
`ー 、⌒`ー─ ´ | _ノ ノノ
\⊂二 ノ /\
、────´/ /\
 ̄ ̄ ̄/「/\/ /^ヽ
i | | |
大スキピオは、旋廻できない象の習性を見抜き、部隊の間隔を空けてやり過ごした。
このため、被害はほとんど出なかった
戦象の突撃失敗を見たハンニバルは、自軍の騎兵を後退させる
____
/ , へへヘ∧ヽ
| | \l l/ |
/⌒ ( . ∠ l 「へへへ!奴ら、逃げるぞ!
ヽ_ (二) ヽ 追撃してやれ!」
l ______つ !
>、 \|_|_|_/ /
/ l ヽ、 ____ /、
/ ` ー──‐─ ´ \
/ | __(^| /⌒ ヽ
/ヽ| (二 ヽ / |
l \ /\ /
`ー 、 ヽ /
しかし、これはハンニバルの罠だった
_____
/´ `\
ゝ/ _________ヽ
/ | ヘ、 ノ⌒ |
| | /  ̄`ヽ /  ̄`ヽl 「まずい!騎兵と歩兵が分離されて
l | l lj | lj l しまった!」
ヽ |_| | |
/⌒` ヽ l ノ、
| ) ` ー─ ´ っー ´ l
ヽ__ /⌒\____つ ノ
\ ( ______ ノ /
>ー───、─ ´
/ \ / \/ \
l l |/\
├─┤ |、
騎兵戦力が劣勢であることを悟っていたハンニバルは、自軍騎兵を囮にローマ軍騎兵を
「釣り上げた」のだ
ハンニバルは、この隙に敵歩兵部隊に猛攻をかける
____
/ − 、 −、\
/ , -| ・|・ |- ヽ
/ / `− ●- ′ | 「さぁ!損害に構わずに
| | 二二 | 二二. | 進め!」
| | |\ -─ | ─___)
_ ! | !  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / /_
( __)\ヽ \(二二二)//(__)
\ ━━━━6━━ /
| /___ヽ |/
| | ヽ__ノ ノ |.
| ` ─── ′ |
しかし、最前線の傭兵たちは士気が低く、あまりにも脆弱だった
____
/_____ヽ
/ (__∋_∈_)ヽ
/ / ⊂⊃ ヽ | 「うわぁ〜ん!もう、故郷に
. | | |\___i_/| | | 帰りたいよ〜!」
| \ヽ ∽ // /
|  ̄ ̄ ̄ |
|_______|
| |
 ̄| ̄| ̄| ̄| ̄
⊂二⊃⊂二⊃
ハンニバルは第二列の市民兵に攻撃を命令したが、大半が新兵で構成されていた第二列は、
怖気づいて前進を拒否した
_____
/______ ヽ
| ━ ━ | | 「戦争なんて、傭兵たちにやらせれ
| (・) (・) |__! ばいいんだ!」
i ⌒ )
! ,−、 ノヽ mm
ヽ、 ヽ ノ / ノ\(ヽ、 |
/ l、二二二/ / \_ノ
/ ! | | / | |
| \| |/ ノ
やむをえず、ハンニバルは予定より早く精鋭の古参兵を前線に投入する
___
/´ `\
/ _l_ll_l__l
| | へ、 /、|
┌l | | (| |(| l
ヽ (| ヽ ー _ ゝヽ> 「下がっていろ!うじ虫ども!
く_ノヽ/ (/ ノ 我々古参が突撃する!」
(`ヽ` ー┬__´
(/ ヽ  ̄ ̄ ノ
/ / / |
/ / \ |
/ ) ヽ)
`ー'_, ヘ_,ヘ__ノ
/ /| |
. / ─/ .|ー┤
/ / | |
/ / | |__
/ ノ ( __ )
疲労したローマ軍に対し、第三列の古参兵は優勢に戦闘を進めた
_, ─── 、 ノヽ ( )
/ __/_/ノ ☆
「おらおら!ジジイのファック / / ヽ ,⌒ ヽ
の方がまだ気合が入っている!」 / /⌒/ / ⌒\ | ( )
/´ ̄ ̄ ヽ | \ ノ^l \\\
ヽ ───────── // _ノノ ノ ヽ ⌒ <ノヽ、 , ─ 、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ー─(二ノ 、 ̄ ⌒\ ゝ !/───/ ヽ_)ー
──────────── ( ___( \ \ ヽ ノ |ー
_ / ` ーヽ、_ __ /─────ヽ、ヽ二
l ̄ ̄ ̄ /ノ /  ̄
────────── | _ ノ ────── ☆ //
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ、 く  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ , ⌒ ヽ
─────────── | \_ , ⌒ ヽ ( )
/⌒ヽ____/ヽ_ ノ ( )
/ / / ̄\_ ノ\_/ ( ノ
/ _____|_ / \ \
しかし、陣形上はこれで湾曲したローマ軍戦列の両翼に包み込まれるような形になっていた。
あたかも、カンナエにおけるローマ軍のように…
_____
/ − 、-、\
/ , -|ノ ・|・ |-ヽ 「急いで中央突破しろ!
i / `− ●- | もう、ローマの騎兵隊が
. | / /\_三 | 三__> 引き返してくるぞ!」
| | |  ̄ ̄ / /
ヽヽ ヽ__(二二)_/ /
━━━o━━━
/ /┌─┐/ |
ハンニバルは当然、騎兵による包囲を危惧していたはずである
しかし、もう一歩と言うところでローマ軍の騎兵が帰還し、カルタゴ軍の背後に回った
, ─ 、
(_(_(_, ヽ
, ─── 、 (⊃_ ノヽ
┃ ┃┃ /WWW \ \ l l
┣━ | | l \ll/ ヽ/^ヽノ | 「遅れてすまなかったな!」
┃ | | (| (。) ∠ ノ !
┃┃ | | / (二) / ⌒ヽ | | /
━╋┓ /| l _ /\ \| l l く
\\ ┃┃ |\/ |/| (__/ \ ヽ ノ // \
\\ _| _└ ヽー`ー`─ ´ /´
☆ \ (ヽ \ |  ̄ ̄ ̄ / ⌒ヽ
/⌒ヽ ∠ \\/ヽ l  ̄ ̄| 二|
/ /\ |/ヽ/\ ヽ_ノ ヽ、_ ヽ_,_ノ
l_/\/\ /\/  ̄ \  ̄ ̄ ̄
こうして、カルタゴの勝利は途絶えた
□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□ ∪∪∪∪∪∪∪∪∪ □
□ ∪ ■■■■■■■■ ∪ □
□ ∪ ■■■■■■■■■ ∪ □
□ ∪ ■■■■■■■■■■ ∪ □
□ ∪ ∪ □
□ △△ △△ □
戦いは大スキピオが企図した通り、カンナエを再現した結果となり、包囲下のカルタゴ軍は
次々に降伏した
, ──- 、
ゝ/______\ 「騎兵による後方機動の勝利だ!」
/ | / , − 、 − 、l
l | / l l
l |─| ^|^ |
Y⌒ ` ─ ヘー ヽ
ヽ_ |`───┘ノ
∩ ヽ、_ヽ__// ∩
┘`ー┬─´\/\/ー┬─´ └-、
_ __|_ ノ |_|___三
| |
ローマ軍の損害は戦死1,500名、負傷4,000名ほど。対し、カルタゴは死傷者2万名、捕虜1万5千
を出した
______
/ / ⌒ヽ ⌒ヽヽ
/ , ┤ /・|・\ |、 \
/ / ` ー ● ー ′\ヽ 「まさか、敵のローマが私の戦術の
l / ── | ── ヽ 後継者になるとは…」
| / ── | ── |
l | ── | ー─ l
l | | /
ヽ ヽ / ̄ ̄ ̄\ /
>━━━━━O━━━く
/ / ヽ ヽ
ここに、第二次ポエニ戦争はカルタゴの敗北に終わった。ローマはカルタゴから海外
植民地の大半を奪い、多額の賠償金を科す。これは、カルタゴを疲弊させて再び戦端
を開かせようと言う意図だった。しかし
______
. / /⌒\/⌒ヽ
/ , −| ・|・ |、\ 「戦争では負けたが、政治では
/ / ` ー ●ー ′ヽヽ まだ負けていないぞ」
/ / 二二 | 二  ̄ノ
l / /⌒\ ── | ─ /
| | /  ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄
l | | / /⌒ヽ
l | ヽ /⌒ヽ⌒ヽ |/ヽ__ ノ
ヽヽ `ー───┴─7 /
>━━━━━O━━ /
戦後政治家となったハンニバルは財政改革を行い、見事に賠償金を全額支払ってしまう
、ヘ__,へ── 、
∠(_)-´二二二\
/_,、_,、___ ヽ
| -ヽ∧/-、 | |
| | ミ| |) | |. |
/−< − ′ j | ←マルクス・ポルキウス・カトー・ケンソリウス
く| (_/⌒ヽ. ノ___ / ⊂⊃ 「ともあれ、私はカルタゴは滅ぼされるべきである
ヽ、 \__丿 ノ | | と思う!」
` ┬__─´/ ̄| ̄ ̄⌒ヽ
/|/\./ ┼─ヽ冖丿
/\ |. | | |
/ / |____| | |
( ) / \. | |
`^ /______ | |
/ / | | | |
| | \ `ヽ__ ノ
皮肉なことに、このハンニバルの優れた行いがかえってローマの警戒を誘う
その後、ローマと結んだ反ハンニバル派の策謀により、「シリアと内通している」と密告
され、結局ハンニバルはセレウコス朝シリアのアンティオコス4世の許へ走る
_ ____
,,-´ _ _` ヽ、
/ / /|\\ \
/ ,,,−|/ /|ヽ ` |- 、 ヽ.
/ / ヽ _ | _./ \ヽ 「祖国のためには、こうする
| / ● || しかないのか…」
| | / | ヽ |
| | / / | \ |
| | / / | \ /
/ \ | / | \ /
/ \ヽ / ̄\_|__/ヽ /
| ヽ━━━━━┯イ ´
. | i\ \ (T) ノ ノ
| | _\ \ _ / /
| | \ \( )/|
そして、シリアでもローマと戦い続けるが敗北。逃亡先のビテュニア王国で服毒自殺した
/⌒ヽ、○ヽ、 / ̄ ̄ ̄ \
ヽ、_/  ̄ ̄┃ ヽ 「無念…」
! ● ┃ i
ノ ┃ | コ
, −、 ┃ ! テ
| | ┃ / ン
ヽ、_ノ___ ○_ノヽ、 _/ ヽ
こうして、強国ローマを相手に獅子奮迅の活躍をしたハンニバルは死んだ。英雄らしか
らぬ最後だったとも言えるが、あくまでローマと対峙し続けた生涯だった
「第1にアレクサンドロス大王、第2にエペイロスのピュロス、
そして第3に自分。ザマで勝っていれば、自分が一番だ!」
――--、..,
:::::::,-‐、,‐、ヽ. _,,...-
:::::_|/ 。|。ヽ|-i、 ∠_:::::::::
/. ` ' ● ' ニ 、 ,-、ヽ|::::::::: 「史上で一番優れた指揮官は
ニ __l___ノ |・ | |, -、:: 誰だと思う?」
/ ̄ _ | i ゚r ー' 6 |::
|( ̄`' )/ / ,.. i '-
`ー---―' / '(__ ) ヽ 、
====( i)==::::/ ,/ニニニ
:/ ヽ:::i /;;;;;;;;;;;;;;;;
帝政初期の古代ローマの歴史家ティトゥス・リウィウスによれば、ハンニバルは亡命後に
大スキピオと出会い、このような会話を交わしたと言う
おそらく史実ではないだろうが、最後まで闘志を燃やした彼らしい言葉ではある。また、彼
にはそう言う言葉を発する権利があったのは確かだろう。少なくとも、2千年後の今を生きる
我々ですら、彼を三番目から外すことは難しいのだから
「ドラえもん、のび太とハンニバル伝説」Fin
(長々とお付き合い頂き、ありがとう御座いました。皆さんの応援のお陰で何とか完結できま
した)