今度はカルタゴ「ドラえもん、のび太とハンニバル伝説」(上巻)
紀元前814年にフェニキア人により建てられたカルタゴは地中海貿易
により栄えたが、紀元前264年に行われたローマとの第一次ポエニ戦争
に敗れ、シチリアを失い地中海の制海権を喪失した
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/ -w- 、\
/ , -| ・|・ |-ヽ ←ハンニバル
i / ` -●-′ | 「おのれ、ローマめ!いまに
| | .三 | 三. ! 目に物を見せてやる!」
ヽ ヽ (  ̄ ̄ ̄) ノ
○、_>━━o━━━ ヽ
ヽ_| / ___ ヽ ○__)
| i ヽ ノ ノ |
ヒスパニア(スペイン)征服の立役者であるハミルカル・バルカの息子、
ハンニバルは幼少の頃よりローマに対する憎悪を植えつけられており、
後継者となるとすぐさまローマ対策に乗り出した
紀元前219年 ハンニバルはエプロ川以南の都市、サグントゥムを攻撃する
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ |
⌒ / | ノ
( ) i | ノ ノ
(ヽ^i _ ) i ! ⌒
(\ ´/ | ______ ! ( )
\ \ | ヽ______ | / ( )
⊂__ ヽ | // - 、 - 、ヽ| | / ノ / /)
\ / | .i | (・|・) | |__|  ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ /)
\ | /#゙− ゙−# 6) | く
⌒ ⌒ \l i ( ̄ ̄) !_____|__ --─ ̄\)
( ) ⌒` ! ■ |
ノ( ) ヽ、 ノ 「た、助けてくれ!ローマ!」
(_人_)─ ´
カルタゴとローマとの誓約により、エブロ川以南はカルタゴの勢力圏とされてい
たが、サグントゥムはローマの同盟都市でありこの攻撃はローマを激怒させる
( ⌒⌒ )
| | |
___, - 、
/ ___)
/ | ノ i ←プブリウス・コルネリウス・スキピオ
. i __| (・| 「カルタゴごとき、ひとひねりにしてくれる!」
| ( ○
ヽ/ /⌒ヽ__つ
_| |二⊃ (^ヽ、
| \ ヽ──、 (⊃`ヽ)
/ \ ̄j ̄\/\へ ノ
| `7 \`>
サグントゥムが陥落したことにより交渉も決裂し、ローマはカルタゴに宣戦布告。
ここに第二次ポエニ戦争が勃発した
ローマを屈服させるには、直接ローマを叩くほかない。しかし、地中海の制海権は
ローマにあり、地中海からイタリア半島を叩くことはできない
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/ −、− 、\
/ , -| '|' |- ヽ 「心配だが、アルプス山脈
/ / `−●-′ i. を超えるしかないかな…」
| / 二 | 二. |
| | ─ | ─ !
ヽヽ / ̄ ̄\ /
l━━━━6━━
| \/ ___ヽ |
! 、 ヽ ノノ j
o-| ヽ◯⌒ヽ ○ヽ
ヽ、__| |__ ノ...
`−´
峻険なアルプス山脈は当時ローマにとって天然の要害であり、大部隊の山越えは
不可能とされていたが、ハンニバルはそこに目をつけた
=@
── /  ̄ ̄ ヽ ─
/ __ |、 ゙ 「暖かい祖国へ
(|/  ̄ ヽ、 = 帰りたい…」
/ i/ ̄ ̄ ̄\\
三\/ | > /⌒∋
(/U ヽ/⌒`|ヽ/ \) ̄
i/ ̄ヽ \ | ̄/i⌒
 ̄ ̄ | ̄ ̄| ` ┴┤|─ |
─── ヽ__丿 ! | 丿
案の定、大量の凍死者や落伍者を出し、またケルト人の襲撃を受け、4万の兵力は
2万6千にまで激減した
しかし、ハンニバルがアルプス山脈を越えてイタリア半島に到達したことは
ローマに衝撃をもって迎えられる。元老院は急遽、執政官であるスキピオ
に2個軍団を与え迎撃を命じた
___, - 、
. /, -───、)
// / ヽ i
|_| / ヽ | 「さぁ、わしの出番だ!」
( ⊂⊃ ヽ
\ \_/ ノ
/ \──− <
/ \─-/ ヽ
| \/ | |
!_ ノ !
ヽ丿━━━━ ヽ/
( |^ヽ __)
 ̄ ̄ ̄` -′
一方、ハンニバルは兵力不足を補うために、ガリア人の傭兵を募集するが…
___,,,,,__
〃/ / / \ ヽ 「ハンニバル?誰だそりゃ?」
≪|__| ( ・ ∠ |
(d u ⊂⊃ |) _,,,,,___
__| : : : : : : ヽ.,,∠,,,--(__)-ヽ、
,,-\ヽ└<>-'丿=| // - 、-ヽi 「おら達は自分より強い奴に
/ \ ̄ ̄/ ̄.i.. |__| | ・|・ || しか従わねぇべ!」
|/(⌒ヽ/⌒)____|.. (d ` - o-´ !
゙|\, ̄ ./ ̄ .ノ ヽ、 3 ノ , つ
.|  ̄  ̄ | /゙\ ̄/ヽ /⊃)
まだ無名だったハンニバルについて来る者は少なく、ハンニバルは戦果を焦った
そのため、敵を求めてハンニバルは南下し偶発的に両者は衝突する。
これをティキヌスの戦いと言う。結果は当時、精強を誇ったベルベル人
のヌミディア騎兵を擁するハンニバルの圧勝だった
, ─ 、
(_(_(_, ヽ
, ─── 、 (⊃_ ノヽ
┃ ┃┃ /WWW \ \ l l ←ヌミディア騎兵
┣━ | | l \ll/ ヽ/^ヽノ | 「誰が野蛮人だって!」
┃ | | (| (。) ∠ ノ !
┃┃ | | / (二) / ⌒ヽ | | /
━╋┓ /| l _ /\ \| l l く
\\ ┃┃ |\/ |/| (__/ \ ヽ ノ // \
\\ _| _└ ヽー`ー`─ ´ /´
☆ \ (ヽ \ |  ̄ ̄ ̄ / ⌒ヽ
/⌒ヽ ∠ \\/ヽ l  ̄ ̄| 二|
/ /\ |/ヽ/\ ヽ_ノ ヽ、_ ヽ_,_ノ
l_/\/\ /\/  ̄ \  ̄ ̄ ̄
この戦いにより、スキピオは負傷する。また、ハンニバル軍の実力を示す
ことにも成功し、ガリア人部隊が合流。ハンニバル軍は4万まで回復したが
今だ十分とは言えず、諸部族の協力を得るためさらに戦果を拡大する必要
があった
さらに支持を得るために敵を求め南下したハンニバルは ピアチェンツァ近郊のトレビア川
まで軍を進め、もう一人の執政官ティトゥス・センプロニウス・ロングスの軍勢と対峙した
_____ /∠
| <
| ┌-/⌒ヽ/⌒ヽ── ← ティトゥス・センプロニウス・ロングス
|__| | (・|∠ ノ 「スキピオは馬鹿だな!あんな連中に
( /\` − o−´ > 負けるなんて。今度は万全の体勢で
| |  ̄ ̄| ̄ ̄ 臨むぞ!」
| |二二>_|_ /)
`┬_── ´___/ 二⊃
<⌒\/\|  ̄ | (__ノ
| | | ̄ ̄ ̄  ̄
兵力は双方4万であり騎兵の比率が多い分、ハンニバルが優勢だが予備兵力はないので
まともに攻めるのは無謀である。そこで
/⌒ヽ / ⌒ ヽ
/ , ─`ー'─− 、i
l/ , ────\
/ / ⌒ ⌒ ヽ ←マゴ
/ / 、=@ 、=@ヽ 「私に伏兵になれって
l / /⌒ヽ ⌒ヽ ! ことか…」
l | | (| |) | |
ヽ l `ー/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7
ヽ ヽ / /
〉━━/⌒ヽ /^ヽ
/ _ヽ__ノ ヽ_ノ
_ l 「 |______l
r'o7┤ ヽ、__ノ/
` ヽ____┌__ |
(____)__ )
ハンニバルは戦闘の前夜、弟のマゴに2千の兵力を与え川沿いの林の中に潜ませた
12月18日の早朝、ハンニバル軍は騎兵によりローマ軍を奇襲するが、彼らはあっさり
と撤退してしまう
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/ <
| <
| / ̄√ ̄ ̄Τ ̄ ̄
| / /⌒\| 「ほら見ろ!圧倒的じゃないかわが軍は。
| |⌒\/ | ヽ|| このまま一気に川を渡って殲滅せよ!」
| | ∂ \_」|
| \ 論_
| / ____/
\/ \____
| ____/
|
しかし、真冬のトレビア川は冷たく、兵も準備不足のため陣形を整えられないまま疲弊して
しまう。これが最後まで尾を引くことになる
川
| ▼ □ ローマ軍重装歩兵
| △ ) ( ▲ △ ローマ軍騎兵
| □ ) ( ■ ) ローマ軍軽装歩兵
| □ ) ( ■ ■←ハンニバル本陣
| □ ) ( ■ ■ ハンニバル軍主力歩兵
| △ ) ( ▲ ▲ ハンニバル軍騎兵
| ( ハンニバル軍軽装歩兵
▼ マゴの伏兵部隊
攻撃態勢を整えたローマ軍は前進、交戦を開始した。偽装撤退に引っかかり
不利な体勢からの戦いとはいえ、ローマ歩兵は善戦する。しかし、
/
\ |∨∨ ノ , ──‐ 、
/ /、 ) ) /wwwv ヽ ヽ 「死ねよ!」
─ / /l⌒ヽ∧ | ・ ・ |__ |
/ /l ゚\゚o' ノ /(二) _)
\ \\_ノ /( | ノ、
`( ♯(_/─ヽ /ノヽ ))
`^(`ー^ l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ
/ (( /ヽ_ ノ______ l
| | | l |. |
ここでも、ヌミディア騎兵はローマ軍の騎兵を圧倒。そのままローマ歩兵の側面を
圧迫する。さらに、
\\\ /⌒\ , ─ 、
/___ヽ / ヽ\\\
/  ̄  ̄ ヽ. i
\\ /  ̄ ̄ ̄ ̄ \ \ | 「今だ!お兄ちゃんに後れを
/ へ /ヽ ヽ ヽノ 取る訳にはいかない!」
/ /^ヽ /^ヽ ヽ ヽ \\\
|. | 0 | | 0 | | i
\\| `− 6 `−′ |. |
! ! !
ヽ /  ̄ ̄ ̄ \ / /
\ \_ (⌒ヽ丿 / /
━━━6━━━━━ヽ、
/| / ___ \ /⌒ヽ
(⌒ | | ヽ ノ i ` ┬′
あらかじめ、隠しておいたマゴの伏兵がローマ軍の退路を塞ぎ、包囲が完成した
ロングスは比較的脆弱な中央のガリア人部隊を攻撃し、これを突破。退路を
確保して部隊の半数を脱出させるが…
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ─── _____
/ /
/ ___ >
/ / /  ̄─____ \
/⌒ヽ/ / |// l ̄ ̄ ̄
| l _ /_ ノ 「死傷者、捕虜2万人…。もはや、
ヽ_ l ─/─ / イタリア北部を防衛するのは
| =` ー Oー く_ 不可能だ…」
ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
/ ヽ、 ______ /
/ \/\/ヽ
| | l |
トレビアの戦いによる敗戦により、スキピオとロングスの両執政官はイタリア北部
の放棄を決定。しかし、ローマにはまだ、この後さらなる試練が待ち受けている
のである
「ドラえもん、のび太とハンニバル伝説」(上巻)Fin 下巻に続く