おじいちゃんは歴史好きだった。孫は漫画の『ドラゴンボール』が大好きだった。
そこでお互いの本を取り替えて読んでみることにした。
すると、孫が顔をあげて質問した。
「おじいちゃん、『しみんかくめい』ってなんで起こったの?」
「それはな、それまでの社会が、強いものが弱いものをいじめ奪い取る制度じゃったからじゃよ」
しばらくして、再び孫が顔を上げて質問した。
「おじいちゃん、『しゃかいしゅぎかくめい』ってなんで起こったの?」
「それはな、それまでの社会が、強いものが弱いものをいじめ奪い取る制度じゃったからじゃよ」
しばらくして、また孫が顔を上げて質問した。
「おじいちゃん、『しゃかいしゅぎこっかのみんしゅか』ってなんで起こったの?」
「それはな、それまでの社会が、強いものが弱いものをいじめ奪い取る制度じゃったからじゃよ」
しばらくすると、おじいちゃんはため息をついて言った。
「なんじゃこれは。お前の本は、何度勝ってもまた新しい敵が出てくるだけじゃ。
同じことの繰り返しではないか。なぜこんなものを喜ぶんじゃね?」
孫「いいじゃない。歴史とちがって敵が新しいんだから」