>>586 (つづき)
京城日赤病院に勤務していた村石正子さん(80)(筑紫野市)は、45年12月に帰国した
後、母親のふるさと・種子島で暮らしていた。「仕事を探しているなら二日市に来るように」。
約3か月後、日赤幹部から1枚のはがきが届いた。
二日市保養所を訪ねると、京城日赤病院時代の看護師10人が集まっていた。
医師から仕事の内容を聞かされ、風呂場を改造して手術台と戸棚を置いただけの“手術室”
に案内された。宿舎としてあてがわれた2階の10畳の和室では、「中絶手術って違法じゃ
ないの?」と話し合った。
だが、悩んでいる余裕はなかった。数日後、トラックが到着した。荷台に乗っていたのは、
短い髪に汚れた顔、男性用の服をまとった人たち。「男か」と思ったが、下腹部の膨らみを
見れば女性であることはすぐにわかった。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/document/013/do_013_060727.htm