【アトランティスの謎】イリヤッド入矢堂見聞録

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140世界@名無史さん
ストラボンの『ギリシア・ローマ世界地誌』
(飯尾都人訳)よりStrabo 5.3.11

【カッティテリデス諸島はその数一〇で何れも接近し合い、アルタブリ族の港から見て北
の方にあたる外海の島である。そのうちのひとつは無人島だが、残りの島には黒衣を着た
人間が住み、かかとまで来る内衣を着て棟のまわりに帯を締め杖を持って歩きまわるところは、悲劇で見る復讐の女神たちに似ている。ほとんどの間を遊牧民のように家畜を飼っ
て暮らしている。また、錫(カッティテロン)と鉛の鉱床を持ち、交易商人との間でこれ
らの鉱物や毛皮を陶器や塩、銅細工の品と交換する。
 以前にはフェニキア人だけがガデイラを発ってこの交易に向い、ほかの人びとには誰に
もこの航海のことを隠していた。しかし、ローマ人がひとりの船長の後をつけて自分たち
も交易を知ろうとした。
 そこでその船長は敵意を抱くと船をわざと航路から外して浅瀬に入れた。そして、後を
追っている一行の船をもおなじように破滅へと引きこみながら自分は船の破片を頼ってぶ
じに助かり、自分が破棄した船荷の代価を公庫から償ってもらった。しかし、ローマ人は
何度も努力を重ねた末にこの航路を学びとった。
 また、ププリウス・クラッススもこれらの住民の島へ渡って鉱物がわずかな深さのとこ
ろから掘出されること、住民が平穏な人種だということ、を知った。そこで、この海はブ
レッタニア族の島を本土から隔てている海よりも大きいものの、その気にさえなればすで
に豊かな交易を行うことのできる海域であることを、はっきり示した。】

ここに登場するカッティテリデス諸島は、カナリア諸島のこととされる。