>>23 それが、当時の「護国」意識というものは、現代のそれとはズレがありました。
当時、国といえば仏神の守護によって成立しうるもの。
十万億土の彼方に住む佛菩薩、天上の彼方に住む天部とは別に、応身である佛
像や、垂迹である明神・権現が国を守護してくれていた訳です。
どうして守護してくれているのかと言えば、それは日本が仏法を奉じているか
らであり、国歌鎮護の為の東大寺大仏殿が焼失した後には、どこそこの神或い
は仏が、愛想を尽かして他国へ行ってしまわれた等の流言が飛び交いました。
重源による東大寺大仏(殿)再建は、ミサイル防衛網設置の様なもの。
「神風」というのも、神仏分離後のイメージとは異なり、仏法を守護する日吉や
春日といった神々が吹かせてくれた風であり、仏教国に与えられた保障でした。
さて、日蓮は当時の日本に災害が相次いでいる事を、憂慮していました。
正しい仏法が行われているのであれば、災害に襲われる筈は無い。
→逆に言えば、災害に襲われているのは、仏法の有り様が正しくないからだ!
これが、日蓮の至った結論でした。中世的思考というやつです。
その結果、彼は『法華経』のみを奉ずる様に訴えかけ、他宗・衆を非難します。
ところが、非難の対象であった西大寺の叡尊が祈祷を行ったところ、「神風」が
吹いて、蒙古軍は退却してしまいました。
日蓮のシナリオでは、日本には神風が吹かぬまま、追い詰められて『法華経』を
選択して、土壇場で救われる筈だったのです(これが彼の護国計画)。
「叡尊の仏法が正しく、私の理解が間違っていたという事になるのか」
「神風」が吹いた後の日蓮は、二度と亡国の危機を口にしませんでした。
>24
ありがとうございます。