武士・侍って弱くないか? 二太刀目

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ちょっと確認してもらいたいことがある。
「重騎兵」「重装騎兵」という言葉には、二つの用法があるわけだ。

まず一つ目は、装備という点から見た「重装騎兵」という用法。
これは、頑丈な鎧兜で騎乗者、時には馬の全身をガッチリ固めた騎兵を指す。
具体的な例としては、東ローマのカタフラクトや中世西欧の騎士、クロムウェルの鉄騎隊や
オスマン朝のカピクル騎兵など。
この意味での「重装騎兵」だと、大鎧で身を固めた鎌倉武士や当世具足を身につけていた
戦国武者は明らかに重装騎兵に入るし、ゴートの槍騎兵やルイ14世時代の胸甲騎兵(前時代
の騎兵に比べて軽装だったため、同軍の騎兵の中で一番重装甲であったにもかかわらず「軽装騎兵」
という意味の言葉で呼ばれている)は軽騎兵のカテゴリになる。

もう一つは、運用の観点から定義した「重装騎兵」という語の使い方。
こちらは、敵と離れた位置から飛び道具で攻撃する軽騎兵に対し、敵に肉薄して直接殺し追い
散らす事を任務としている騎兵を指す。
この定義だと、弓矢と槍を併用しているカタフラクトやさっき挙げた前燕の連環馬(>>715再下段
の戦例は弓の撃ち合いだった)は怪しくなり、たいした鎧を着けていなかったゴート騎兵も
立派な重装騎兵となる。
この定義だと、鎌倉武士は重装騎兵じゃなくなるかな、と思うけど、鎌倉武士の弓での戦い
方は遊牧民に代表されるような、馬で移動し(時には動かなかったり)ほどよく離れたところから
敵を矢で射殺す軽装騎兵の戦い方とは違い、専ら敵に突撃しつつ弓の威力で敵を殺し追い散らすと
いう、まるっきり重装騎兵のようなものだったというではないか。つまり、この定義でも武士は
「(ほぼ)重装騎兵」となる。