チェチェン武装勢力、先鋭化…女性自爆テロ横行
【モスクワ=五十嵐弘一】モスクワの地下鉄で発生した爆破テロの実行犯は、チェチェンの女性である可能性が
指摘されている。ロシアからの分離・独立を目指し、最近は露軍・治安部隊による掃討作戦で夫や恋人を殺された
女性を自爆テロに利用する作戦をとるチェチェン武装勢力。テロに走る女性の急増は、独立への展望がますます
遠のく中、武装勢力が抱く焦燥感や、庶民に根付いたロシアへの怨念(おんねん)の反映でもある。
2002年10月のチェチェン武装勢力によるモスクワ劇場占拠事件では、犯人グループ50人のうち18人が女性
だった。昨年7月のモスクワの野外ロック・コンサート会場での自爆テロや、同12月のモスクワ中心部・クレムリン
近くのホテル前で起きた自爆テロも、実行犯はチェチェン女性だった。
封建的なチェチェン社会では、「擁護者」である夫らを失った女性は、社会での行き場を失う。自暴自棄に陥る
一方、ロシアへのすさまじいまでの恨みを抱くようになる。それがモスクワを脅かしているのが今の現実だ。
チェチェン武装勢力は一方、1999年9月から始まった第2次チェチェン戦争での露軍による掃討作戦の結果、
大規模な戦闘を起こす力こそなくなったが、銃撃戦などによる抵抗は今も続けている。
武装勢力はまた、国民の眼前でプーチン政権の威信を失墜させようと、首都モスクワを舞台としたテロを繰り返
してもきた。
これに対しプーチン政権は、昨年3月の住民投票によるチェチェン共和国憲法採択、同10月の共和国大統領
選実施など、チェチェン安定化を目指した既成事実を積み上げてきた。さらに、チェチェン武装勢力との戦いを
「テロとの戦い」と位置づけ、米ブッシュ政権から一定の理解を取り付けた。
そのために、チェチェン独立への展望が遠のく一方となった武装勢力は焦りを強め、過激なテロに走るという
悪循環が続いている。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040206id31.htm
モスクワ地下鉄爆破、男のモンタージュ写真公表
【モスクワ支局】モスクワの地下鉄爆破テロで、モスクワ市当局は6日、犯行にかかわったとみられる男の
モンタージュ写真を公表した。地下鉄駅構内の防犯カメラの映像をもとにしたものとみられる。
モスクワ放送によると、男はカフカス系の顔立ちでがっちりとした体格。年齢は40―45歳という。
またタス通信は、爆発直前に地下鉄職員に向かって「これからパーティーだ」と話しかけたカフカス系の男を
警察が追っていると伝えた。男は2人の女性と一緒だったという。
捜査当局は当初、女性の実行犯が車内に爆発物を持ち込み、自爆したとの見方を示していたが、爆発した
のは仕掛け爆弾だったとの見方も浮上している。 (以下略
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040207it03.htm