先週の金曜日の夜、ちょうどはじめて「大地の子」を借りて見てい
たら、テレビではNHK「日本人心の風景」という番組がやってい
ました。この番組は、終戦当時11歳(国民学校5年生)だった
人々にインタビューしてそのオーラルヒストリーを記録しているも
のです。俳優の宝田明が満州からの引き上げについて語っていまし
た。戦争で心がすさんでしまった宝田明の兄の話や、宝田明が引き
上げの最中にソ連兵に強姦された婦女子を見た話。そして「そうい
うのを11歳で見たら人生観が変わりますね」と言っていたことが
印象的だった。
よく考えると、私の父も昭和9年生まれだったので当時11歳。宝
田明をはじめこの番組に出てきた人々と同じ歳でした。祖母が大連
高等女学校の教師をしていたために、終戦の数年前まで満州にいた
のです。父が死ぬ前に何度か自分の歴史を、たとえ私に面と向かっ
ては語り得ないようなことでも記録しておいてくれ、といっていた
のですが、実現されなくて今は後悔しています。しかし、父が死ん
だ後、父の姉からいろいろ話を聞いて涙が止めどなく流れたのを覚
えています。
キティ総研【地下生活者】通信 第2号 1999年10月30日(金)
http://square.umin.ac.jp/kitty/KittynewsNo-2.html