【医学・医療の歴史】

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174世界@名無史さん
よく時代劇なんかで焼酎を傷口に吹きかけて洗うってありますけどこれってなにげ
にアルコール消毒ってことですよね。

ホントにあったのかな。他の国ではどうしてたのかも疑問。
175Krt:03/11/22 16:42
意外に思うかも知れないが焼酎で傷口を洗う(口に含んで吹き付けたかどうかはともかく)
というのは昔の日本において実際に行われていたことであり、のみならず、
(1)それは遅くとも江戸時代後半においては金瘡に対する標準的な治療法であった。
(2)しかもその目的は消毒(破傷風にならないため)であることが意識されていた。
(3)それどころか、外傷に対してむやみに消毒して患者に苦痛を与え、傷口の細胞を痛める
よりも洗浄だけの方が良いのではないか、という現代医学の知見に迫る見解すら存在した。

例えば、平野重誠(1790〜1867)は「病家須知」において次のように言っている。
「また金瘡を洗に、むかしより火酒を用ることなれども、洗ときに、激痛堪えがたき
のみならず、暑月は、膿みやすくして大に可からず、それよりも石灰を水に攪て、その
澄清を以て洗かたが、血の止ことも速にして、痛も少く、且癒ことも早し、(中略)
俗人は、金瘡を水にて洗といはば、必訝ていはん、洗ところの水が、創口より入りて、
破傷風にならんかと、これ決してなき理なれども(以下略)」

焼酎による殺菌能力がどの程度のものなのかはわからないが、ともあれアラビア医学(?)
以後十九世紀半ばまで消毒の概念は忘れられていたのだから、これは驚くべき事だろう。