ガンパレードマーチ外伝 青のコメディアン(1)
今ここに一冊の報告書が有る。
それは一人の人間の一生の物語。
時空には平行時空や垂直時空と言う概念が存在する・・・・・
垂直時空は時間の流れ、つまりは過去と未来と言う時間軸・・・その流れのズレや
歴史上の食い違いによって分岐したものを平行世界と言う・・・・・・・・・
これは、通常我々が取り扱う管理権限が及ばない特異な平行世界郡となってしまった
「要注意世界郡」指定を受けた地域を担当する管理官の為の物語である。
我々が唯一のつながりをもつ第七世界においてゲームとして発売された第五世界の情報を元に
調査を行い作成されたものである。
青のコメディアン(2)
序章 幻獣と人類の50年
1949年8月19日 アメリカが交戦国である日本合藩連合公国の首都江戸に3発目の原子爆弾トールボーイを
投下した同時刻・・・
全世界規模で行われた人類同志の戦い、すなわち第二次世界大戦は意外な形で終幕を
見ることとなる。
「黒い月」の出現。
それに続く人類の天敵の出現である。
これを幻獣と言う。
神話の世界にしか存在しない名を被せられた、本来我々の世界にはは存在し得ない
確固たる目的も理由も無く、ただ人を刈る人類の天敵。
生殖もせず口も無く、幻のように現れ身に蓄えられた栄養粥着るまで戦い、力尽きれば死んで幻へと帰る。
1973年。英国・フランス等のドイツを除く欧州・東シベリア・カナダ・アラスカ・中央アフリカ・パナマの陥落。
日本義勇軍なる日本左翼などにによる従軍者多数戦死。
1997年ドイツ陥落。
一九九八年4月員ちょん防衛戦失敗。人類の生存圏はアメリカ合衆国・南アメリカの一部・南アフリカ・日本
のみとなった。
9月。九州西岸より防衛戦争開始。。
98年、八代平原に投入された自衛軍、陸自のほぼ全力の48万。
対する幻獣軍、1400万。政府は生物兵器ヲ使い同地の8割をの業火を持って30万の犠牲と
引き換えに焦土と化し幻獣を葬った。
この物語は、73年から志願し98年、ユーラシア連合軍最後の戦いである
仁川撤退戦に従軍、更に八代平原大会戦において見事に生き延びたものの
同年に宇都宮で戦死が確認されるまで闘いつづけた、あるコメディアンの物語である。
なお本編では、1999年3月に始まる、栄光の時間分岐【第五世界の独立】に関しては
触れることは無い。
それらは全て彼等の犠牲の上に始まった・・・・
第五世界 標準時間 1997年 八代平原
幻獣と呼ばれる敵によって既に世界の大部分は陥落させしめられた。
こうやって始まった日本防衛戦争。
今まさに自衛軍は潰滅しようとしていた。
一人のスカウト・・・しかしウォードレスの頭部には指揮官の証である
赤いスカーフ。
「イッチョメイッチョメワーヲ!」
最早伝説と化した軍楽「東村山音頭」を歌いながら酔拳のごとく酔っ払った格好をして
敵からのレーザーを避け、腕を斜め上方に曲げる独特な剣術で幻獣を狩る。
そして、高千穂奇蹟の撤退と呼ばれた事件は起こったのである。