140 :
時空官吏淡雪:
第5世界 1966年
A。それは199X年に姿を消した、絢爛舞踏。舞踏の中の舞踏。それは息をするごとに
幻獣を殺したといわれる。
現時点では未だに芝村は政権を撮っても居らず、無名の財閥に過ぎない。
A、彼もまた、当時は未成年でありながら芝村の有力な一族として才覚を表しつつあった。
そのAが、有る日、こう切り出したのは、この第五世界の志村康徳の瀕死がきっかけであったといわれている。
A裏語録ともいうべき、「士官戦術教本」には、こうある。
「強きものは弱気者を守るのが定め。しかし、人類の最強は弱き者より生まれる。弱き者は敗北に強い。
敗北しても死ななければ何度でも挑戦するからだ。全員が死なない敗北。それこそが最善の負けである」と。
そして、観測データによれば、1970年代から、1990年代に書けて、ワードクロスと呼ばれる現象が起きている。
これは、二つ以上の世界が交差し、互いに情報を保管し合うことによって、それぞれの歴史の過去が書き
換わることである。
このワールドクロスによって、第五世界の志村康徳は瀕死を追わず、一閃で中型幻獣を切り捨て
た、という様に歴史が書き換わった。Aが世界移動存在となったためにAの行動が世界の歴史から抹殺されやすい
傾向にあった為、といわれている。
この時、第7世界では友人のチケットをもぎ取った志村であったが、この第五世界では東京原爆と後の幻獣による
関東蹂躙によって親族が死亡。孤児となり、知己を得て整備学校に入学。
動員によってコンサートを見に行っていたことが判明している。
一説によれば、第7世界の志村との共通性からワールドクロス時に記憶の交換が行われたのではないか、とも言われている。
この時、イカリヤ軍楽少将(後に本件の責任をとって軍楽中佐に降格)によって軍楽部隊整備士兼軍楽士
として拾われることとなったのである。