壊れかけた友情…。そんな時、救世主・植野がついに動く!! 第39話 所詮 他人
あらすじ:かつて硝子をいじめていた事実を川井に暴露された将也。思わず教室を飛び出すが、
植野に引っ張られいつもの橋へ。過去の「罪」を清算し、仲間との関係を維持できるのか…?
植野「着いた 降りろ」
いつもの橋の前で、植野が自転車を止める。西宮姉妹と佐原が先に来ていた。
笑顔で手を振る佐原たちに対し、石田の表情は引きつっている。
佐原「石田君 なんか元気ないね」
その原因たちが遅れてやってくる。
永束「いたいたやーしょ!」
心なしか、川井も伏し目気味。真柴だけが、相変わらず顔に出ない。
真柴「川井さんから事情は聞いたよ 君が反省してるってことも」
真柴に促され、川井が石田に謝る…
川井「石田君 あなたを陥れるつもりはなかったの ごめんなさい…」
石田「ああ… なんか… 俺の方こそごめ――」
割と素直に謝ってきたので、石田も謝ろうとしたところだが。
川井「でも石田君も悪いんだよ?」
どうやら川井は、自分が悪いとは毛ほども思っていないようだ。教室での再戦をふっかける。
「あんな所で詰め寄るなんて… だったら初めからいじめなんてしなければ良かったんだからね?」
硝子が何を言っているのかと結絃に尋ねるが、結絃にも通訳どころか事態の把握すら困難。
植野「待って川井っち……! 私たちは… これについて石田を責める権利はない…!」
思わぬ攻撃を受け、川井は"敵"を切り替える。
川井「「達」… 違うよ?なおちゃん
私と違って なおちゃんは積極的に西宮さんをいじめてたじゃない 一緒にしちゃいけないよ?」
植野「………」
何を言っているんだこいつは、といわんばかりの植野。
佐原「なおちゃん………」
不登校ゆえに事情を知らなかった佐原には、これも衝撃の事実だったようだ。
完全部外者の真柴・結絃・永束には、口を挟むことすらできない。
植野「うん… 違うよ 笑って同調してただけのあんたと違って私は葛藤してた!
あんたより重みのある時間を過ごしてたって自信ある!」
川井「だからなんだって言いたいの!?」
意を決しての植野の反撃に、川井はいつもの笑みすら忘れ激昂。
永束「ちょ…! クールダウン!!」
川井「キャッ 汚い触らないで!」
止めに入ろうとした永束は悪し様に振り払われ、さらに火を注ぐ結果に。
「重いから? それで悪口が正当化されるの!?
だいたい私は同調させられてたんだよ!? なおちゃんに!」
植野「はッ!?」
川井「どー思う佐原さん!! この子佐原さんの悪口メチャクチャ言ってたんだよ!?」
戦火は別方向にまで飛び火して、佐原さえもが当事者の座に引きずり下ろされる。
佐原「わ…私…? 私…… あ…あの頃の私には…… ……
二人とも怖かったよ…」
植野「どっちの味方なんだよ佐原ァ!!」
佐原「どっちの味方でもないよ!!」
こうして、水門小組の全員にとって、本人以外の全員が"敵"となった。
石田「やめろ お前ら 今日は帰れ」
石田は橋の欄干にもたれかかり、両腕で目も耳もふさぎうずくまる。
「俺が全部悪ィんだ 俺がキッカケでこうなった だからケンカはやめろ」
ようやく、硝子が佐原に通訳してもらえたようだが、どこまで通じたのやら。
植野「…そのリクツはキライっ なんの解決にもなってないもん」
石田「植野 お前は川井とそう変わんねぇ 目クソ鼻クソだ
笑えるからこれ以上ギャーギャー騒ぐな」
植野「……!」
佐原「石田君 そんな言い方……」
石田「心配してるフリはやめろよ佐原 すぐ逃げるくせに だからいじめられんだよ」
佐原「違う…」
川井「どうしちゃったの?石田君……」
石田「川井 心の底からあんたを気持ち悪いと思う もう喋らないでくれ」
永束「やーしょー!! 俺はお前の味方だからな!」
石田「黙れ永束!! 俺のことよく知りもしないくせに調子よく味方とか言ってんじゃねェ!」
永束「やーしょ…!!」
川井「もういや!私帰る!!」
永束「…今日はたまたま虫の居所が悪かっただけなんだよな やーしょー …… ……
映画は…いつでも再開できるから 元気になったら…メールくれよな」
真っ先に逃げ出した川井に続いて、永束もそっと橋を後にする。
佐原「私も行くね…ショーちゃん」
硝子「!」
佐原「今日は一旦休憩ということで… また遊ぼうね…」
植野「ごめんね石田… 私がやること全部裏目に出るね… ホント… 自分がやんなる……!」
??「いくら善人になったつもりでも いつか報いは受けるんだな」
真柴はあさってを向いている。石田は高校での会話を思い出し。
石田「前殴りたいって言ってただろ? やりたきゃやれよ…」
真柴「え いいの?」
結絃「石田!!」
真柴の拳が、ためらいなく石田の顔面を打ち抜く。床に転がされた石田に、硝子が駆け寄る。
真柴「じゃ また新学期で」
何事もなかったかのように、真柴も橋を去ろうとする。
結絃「何様だよ お前」
真柴は全く表情を変えることなく。
真柴「他人様」
石田は、数日前の光景を思い出していた。
映画撮影のために集う面々。その全員に、一人一人×をつけていく……
最後に残ったのは、硝子だった。結絃は二人を離れて見ている。
石田「…あ… そうだ せっかく夏休み なんだし どっか遊びに 行こうか」
石田は殴られた痕を拭こうともせず、作り笑顔で硝子を誘う。
そんな石田に向けられた硝子の表情は、何を意味するものか……
石田(みんな ごめん……)
■そして、西宮が残った。次号、「2人きりの夏休み」。