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金田:特に最近の『ジャンプ』はそういう傾向がありますよね。いまヒットしている『リボーン』は
女性の描き手ということもあって、既に同人的に完成された絵柄なんです。キャラも
ものすごくたくさん出てきて男の子同士の仲もすごくいい。完璧なんですけど、
私のようなオールドなファンはそれゆえのつまらなさも感じるんですよね。
荒木:なるほど。『BLEACH』なんかでも、だいたい車田正美先生の影響を感じるよね。極端に言うと、
車田正美先生の同人誌を見て描いている感じ。
金田:まさにそうだと思います。
荒木:そういうのはアリなんですか?
金田:『BLEACH』もわたし的には、そこまでやられるとちょっと、というのがあるんですけど、
普通に人気はありますね。久保帯人さんははっきり高河ゆんが好きだと言っていて、
高河ゆんさんは『キャプテン翼』や『聖闘士星矢』の同人から出てきた人ですから、
めぐりめぐって王道に回帰してきた少年漫画と言えなくもない。
荒木「僕の場合は、そういう迂回路はなくて、完全に古典直系の王道ですよ。ただ、
ファッションや美術とかでイタリアン・テイストを引っぱってきていて、そこで
ゲイ・カルチャー的なものが入っているんだと思う。
今日はある種の女性たちによる読み方をいろいろ教えてもらいましたけど、そういう
見方って、本当にどこまでも妄想が進むんですね(笑)。でも、そういうのを意識的に
取り込むことがいまの新しい流れとしてあるのだとしたら、興味はありますね。」
金田「でも、ここまで言っておいてなんですが、荒木先生は新しい
流れとか気にせず、荒木流であってくれるのが一番だと思います。」
(巻頭26Pに渡る荒木と金田淳子(社会学)、斎藤環(表象精神病理)
の3人による対談で、これらのやり取りは最後のページにある)