その夜、珍しく銀時が一緒の部屋で寝て良いからと、ソファーじゃなく自分の寝室に二組の布団を引いた。
「最後に、ずいぶんと優しいんだな」
「お前、本当は何企んでるんだ?」
「何も企んでなどいないさ」
ふう、とため息をついて銀時が正面から桂を見据える。
「お前、嘘つくとき、鼻の穴広がる癖があるぞ」
「まじでか!?」って、鼻を押さえてしまったという顔をする桂。
「・・・鬼兵隊に迎えに行ったとき、偉くお前は馴染んでいたな。あの高杉相手に、つかまって、逃げようとせずにいたのも、考え合ってのことなんだろ」
「今の将軍は・・・茂茂どのは、誠実でいい方だ。この国の未来を、あの方なら本当にいい方向へ導いて下さるやもしれぬ。
だが、高杉は、そんなことは関係ないと言った。その血筋に責任を取らせると。説得できればよいかとも思ったが、あやつ相手には無理な話だ。
そうそう、人の考えなどは変わるわけもない。」
「そりゃそうだ。人の考えなんかかわらねえよ。特に、頭の固いお前らはな。・・・なのにどうだ、おまえは。もどって来るなり結婚にあっさり承諾。
一体、あいつのところで何があったんだよ。」
お前の考えを変えるほどの、なにがあったんだ。
銀時がこういう目をしたときは、言い逃れできないことを桂は知っている。
ある種の確信の元で聞いてきているからだ。