>>73 呼ばざる客が来たのは、この翌日のことだ。
「ヅラいる???」
ご丁寧に、配達の海援隊の船でやってきた白夜叉。帯刀していないことを大げさにアピールしながら、のんきそうにやってきた。
考え抜いたあげく、自分を積み荷として、鬼兵隊に届けて欲しいと坂本に交渉したのだ。
血眼になって探している幕府のところへ、数日前鬼兵隊に月子がいる旨の報告が入った。
真選組を始め、幕府軍はいきり立ち、総出で鬼兵隊を捜す動きを強めていたのだ。親友?の沖田達から聞いた情報だった。
桂が万事屋にもどらず消えてから手がかりが何もなかったことから、早くも高杉に目を付けていた銀時であったが、確信がなかったのと、
相手が何処にいるか全くつかめない状況であるのとで動けずにいた。また、面倒なことになると言う覚悟も必要だった。何とか坂本に連絡を付けて、
ようやくたどり着いたのが、この鬼兵隊のデッキである。
「迎えに来ました??。うちの依頼人なんでね」
「帰るかどうかは、月子殿が決めることでござる。・・・もっとも、白夜叉殿がどんなに衣ツバメの巣を持ってきたところで、かぐや姫が帰るところはひとつであろうが」
いつも死んだような目をしている銀髪の男の、その目が鋭い光を帯びたのを万斎は見逃さなかった。