今日は、何かの記念日だとかで、鬼兵隊の主要メンバーで宴会が行われた。万斎と高杉で三味線を弾く。そうしたら、月子が踊ると言い出した。
「てめえが踊りたあ・・・どうしたい?えらくあか抜けたじゃねえか」などど馬鹿にする口調なわりに楽しそうな高杉。
「事情合って、西郷殿に教えて頂いたのでな。」と、センスを片手に舞出す。元々が美人なだけに、立ち姿も舞姿も見事だ。みな、見ほれた。
万斎さえも。消すのは惜しい存在でござる・・・などと思ってしまった。
まるで、花のようだ。
すこしして、高杉が、歌を替えた。
突然、調子を変えた。
そして、詠んだ歌は・・・「あだしのの、たとえこの身は くちるとも・・・」
「とどめおかまし大和魂・・・」
月子の手から、ぽろりと扇子が落ちた。
その様子さえ、美しかった。
そして、くるりと高杉を振り返ったときの顔は、一生忘れることが出来ない。
悲しげで、寂しげで、儚い笑顔・・・
美しすぎて、この世の者とは、思えなかった。
交わし合う二人の無言の視線の中に、一度は切れたであろう絆が見えた気がした。