余談 最後の誕生日 K
「すまん、銀時、遅くなって」
玄関を開けて。
なるべく、普段通りに言う。そうしようと思えば思うほど、どういう風に普段の自分は振る舞っていたかと思ってしまう。
さっきから、思考がまとまらない。
高杉に会って、
去っていった後を追ったら居なくて。
お登勢に、血だらけの割烹着を指摘された。高杉のことは、言わない方が良いと、言われて、血に濡れた割烹着を着替えた。
下の着物にも血が付いていたが、着替えるわけにも行かず、赤い着物で余り気付かないだろうから、割烹着だけを借りることにした。
もともと、割烹着はお登勢にもらったもの。全く同じものがあるから、と、新しいそれをもらい、着ていたものは、お登勢に渡してきた。