一瞬、お登勢は、はて、さっきまでのあの男の弱々しさはいったい何だったのだろう、もしかして、演技だったのではあるまいか?などと思ってしまった。
それくらい、以前会った時のような、高杉だった。だが、
平生の彼の雰囲気に合っていたから違和感を感じないだけで、カウンターに肘を突いているのは、間違いなく、支えて居なければ立てないからだ。
・ ・・あんたって男は、一体何処まで格好つけりゃ気が済むんだい。
「先程、真撰組がうちに来たぞ。おおかた、またお前がよからぬ計画を立ててるのだろう。怪我がどうのとか言っていたから、少しは心配していたというのに・・・
貴様は一体何をやっているのだ!!こんなところで、何をしている!!お登勢殿に迷惑は掛けさせん。何をしに、ここに来た!!目的を言え!!」と、息巻く。
「てめえに、会いに来たと言ったら、信じるか?」
「信じない!!用がないなら、出て行け!!」