【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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645名無しさんの次レスにご期待下さい
>>641
「!!!」

お登勢は、うっかり声を上げそうになった。

入り口近くのカウンターに、片肘突いて高杉が立っている。

いつもの、憎々しいほどの笑みで。そして。

「よう」

と言った。



それが、あまりにも堂々としていたからか、店内が薄暗かったためか、いるはずのない人物に驚いて注意が散漫したからか、月子は

「高杉?!貴様、どうしてここに!!よく、のこのこと俺の前に来れたものだな!!」

と、高杉の異変にも気付かず、ぴしゃりと言った。

それを聞いて、嬉しそうに高杉は笑っている。
646名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/09(日) 10:31:37.57 ID:wxOU+GlI0
一瞬、お登勢は、はて、さっきまでのあの男の弱々しさはいったい何だったのだろう、もしかして、演技だったのではあるまいか?などと思ってしまった。

それくらい、以前会った時のような、高杉だった。だが、

平生の彼の雰囲気に合っていたから違和感を感じないだけで、カウンターに肘を突いているのは、間違いなく、支えて居なければ立てないからだ。

・ ・・あんたって男は、一体何処まで格好つけりゃ気が済むんだい。



「先程、真撰組がうちに来たぞ。おおかた、またお前がよからぬ計画を立ててるのだろう。怪我がどうのとか言っていたから、少しは心配していたというのに・・・

貴様は一体何をやっているのだ!!こんなところで、何をしている!!お登勢殿に迷惑は掛けさせん。何をしに、ここに来た!!目的を言え!!」と、息巻く。



「てめえに、会いに来たと言ったら、信じるか?」

「信じない!!用がないなら、出て行け!!」
647名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/09(日) 11:06:09.34 ID:em/bkEtu0
その言い草に、ついかっとなって、瞬間、お登勢が

「月子!」

と、声を荒げてしまった。

その声に、ビクッとなった月子が、お登勢を見た、その刹那??????

気を逃さず、男が、月子の両肩を掴んだ。

そのまま、数歩うしろの、テーブル席のソファーに倒れ込む。

「・・・・!!!」



押し倒されたように、きっと月子は感じただろうが、お登勢には、数歩歩いてよろけて、倒れ込んだようにしか見えなかった。

「高杉!!貴様っ!!!」バタバタと月子が暴れる。

月子のその手を握り、口づけた。

狂ったように、深い、口づけ。

いや、そんな甘いものではない。

血に飢えた獣が、獲物の血をすするように・・・

水に飢えて、その口の僅かな水分も生きるためにすすっているような。そんな口づけだ。
648名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/09(日) 11:07:23.92 ID:jDrI2d+60
「は・・・!貴様・・・」

とまどう月子。

「一時間、今日は開店を送らせるから、ゆっくり話しな」

といって、カウンターの奥にお登勢が消える。



狂ったような口づけを永遠続けて居た高杉が、

ふと、口を離した。



「貴様、どけ!!」

燃えるような目で、月子が睨む。

その、両頬をがしっと掴んで、高杉が

「桂。桂、俺を見ろ」という。

「言われなくても、見ている!」

と言えば、嬉しそうに笑う。