>>61続き
こうして、一日に一度だけだが、通り抜ける程度に高杉の私室に桂は出入りした。
そのとき、高杉がいることもあるし、いないこともある。しかし、いつも桂のことなど気にしてはいない。
高杉の私室には僅かな人間しか入ることを許されておらず、来島ももちろんなくて、いつもいいっすね??とうらやましがった。
それを聞いて月子は(来島は桂だと知らない)「そうか?なんの変哲もない部屋だが、そんなに見たいのなら今度写真捕ってきてやろうか」
などと、とぼけたことをまじめに言うものだから、来島のツボに入ってしまった。
それ以来、来島はなにかと月子について回っている。
月子が、料理をしているのを見つけては、来島は料理を習ったりした。
まるで、そうしていると普通のお嬢さんのようで、月子はこのまま血なまぐさいことを辞めたらいいと言ったのだが、
来島は「あの人のためにしか生きれないっす」と言って寂しそうに笑った。
「来島殿は、きっといい奥さんになれるぞ」といった時には、うれしそうに笑ってくれたのに・・・。
高杉、お前には大切にするべき仲間がいるじゃないか。その隻眼でちゃんと見ろ。