>>592 すぐ戻ってきてのその様子に、さすがにおかしいと思ったのか、
煙管に既に火を入れていた高杉が「どうしたい」と、声を掛ける。
とりあえず。
気を落ち着けるように座って、
「ぎ・・・銀時がいた」と言えば、
「そりゃいるだろうよ。腰振りにきてんだろうから」と、当たり前のように言う。
「ば・・・馬鹿か、貴様!この状況を見られたら」
「あぁ?ああ、どうせなら繋がってるところの方が面白かったのに、残念だ」と、嗤う。
「何をのんきな・・」その態度に、いらっとした。
「じゃあ、しばらく・・・」と高杉が言ったところで、
スパーーーーーーン!!!
勢いよく、フスマが開いた。
ぎゃあああああ!!!銀時ィイイイイイイ!!!
びっくりして、危うく心臓が飛び出るかと思った。なのに、こいつはひょうひょうとして、
「アァ?いきなりだな。びっくりするだろ」フツーに言いのけた。
「びっくりしたのは、こっちだわアアアアアア!!!!!」
鬼のような形相だ。いやいや、あれだ。夜叉だ、白夜叉!
じろじろと、俺と高杉を交互にみて、あからさまに乱れている布団に視線を向ける。みるみる青筋が立って・・・
ブチッ・・・って、今にも何か切れるような音がしそうだ。
「どーゆーこと???どうしてこうなってんの???説明しろ!!!」
ヒイイイ!!どうしよう、どうしたら。あの、あれか。高杉と二人で話し合ってたという事に・・・とにかく、落ち着いてくれ、銀時、そうだ、お前の好きなもの上げるから!!
「ぎ・・・銀時、あの・・・これは、あれだ、その・・・後でカステラかって上げるから」
もう何を言ってるか自分でも分からない。あわわわ。声もうわずるをとおりこして、変にかすれた。ああ、これは高杉のせいか・・・いいいいやいやいや。それはまずい。
「いるかアアアア!!!カステラなんぞ!!説明しろ、ヅラ!」
む・・・無理無理無理。ああ、今にも殴りかかりそうな雰囲気の銀時。ヒイイイイイ。
と、おもったら、
ずかずかと煙草を吹かす高杉のところに近寄って、いきなりその顔面を殴りつけた。
ギイヤアアアアア!!!今、すんごい音がした!!!ゴキっていったよ!!!
ってか、なんでよけないんだ、高杉・・・。
さすがに効いたのか、顔を押さえて起きあがる。
銀時は、さらに殴りかかろうとしている。あああああ。起きあがった高杉も、目がイってる。キレた獣の目をしている。修羅場だ、修羅場!!このままじゃ血の雨が降る!!
血の惨劇が!!!ヒイイイイ!!どうする、どうしたら。
今、吉原を救える奴は俺しかいない!!!
気づいたら、もう、銀時に飛びついていた。
「銀時!やめろ!」キッと、俺を睨み付けて、「邪魔すんな!!」掴んだ腕を振り払われた。・・・腰に力が入らず、砕けたとたん、腹に鈍痛が・・・受け身を取れず、転がる。
あ・・・いたたたたた・・・・
「あ、・・ヅラ、ヅラ!!大丈夫か!!」あわてて銀時が駆け寄ってくれる。
「おい」と、高杉まで心配そうに来てくれたから、びっくりだ。
「てめーは来んじゃねえ」「そんなこといってる場合じゃねえだろ。医者を・・」
なにやら言い争っている。ていうか、この痛み。・・・子供じゃないんだけど。
高杉の・・・しつこさのなせる業だから。今とても言えないけど。
「い、いや、大丈夫だ。ちょっと・・・うん。もう大丈夫だ」
ふう、と、息を吐けば、おかしいことに、二人も同時に一息ついた。