一体どうして?
どうでも良い疑問なのに、妙に今日は気になった。
聞いてみようか。
・・・ばかばかしい。
でも、今聞かなければ。
「傷でも付いたか」
後ろから声がした。簪を握りしめたまま動かない俺をいぶかしんだのだろう。
「なあ、高杉・・」
ああ?と、気のない返事が聞こえる。
「いつだったか、貴様これを持っていったことがあっただろう。あれは、なぜだ」
言ってしまった。だが、振り向けない。
どんな顔をしているのだろう。きっと、そんなことあったっけ?と言うような表情なのだろうな。
「・・・覚えてねえ」長い沈黙の跡、素っ気なく高杉が答えた。そうだろうな。
予想通りの答えに、がっかりしたような、ほっとしたような。