【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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590名無しさんの次レスにご期待下さい
>>587
「あ、・・あれは、やつが・・・どうしてもと言って、土下座して頼み込むから、仕方なく、一回だけしただけだ・・・。喜んでなど、断じて、いない!」と言えば、

「へえ、じゃ、俺も同じことして頼み込んだら、銜えてくれんのかなぁ」

空恐ろしいことを、高杉が言う。そんなこと、しやしないくせに。

「どうかな。試してみただろうだ」する気もないくせに。できるなら、してみたらどうだ。

「フン・・遠慮しとくぜ」ほら、やっぱり。プライドの高い貴様は、俺ごときに懇願などするはずもない。そんな価値を、俺に見いだしてない。そんなこと、分かってる。・・・。



のそのそと、着替えをして、あいつが抜き取った簪を手に取った。

畳の上に無造作に置かれたそれ。

そういえば。

あのときも、こいつは簪をとったっけ。

・・・その前に、

ふと疑問が浮かぶ。

前に、これを持っていってしまったことがあった。
591名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/06(木) 20:38:37.60 ID:oBkFGdJq0
一体どうして?

どうでも良い疑問なのに、妙に今日は気になった。

聞いてみようか。

・・・ばかばかしい。

でも、今聞かなければ。

「傷でも付いたか」

後ろから声がした。簪を握りしめたまま動かない俺をいぶかしんだのだろう。

「なあ、高杉・・」

ああ?と、気のない返事が聞こえる。

「いつだったか、貴様これを持っていったことがあっただろう。あれは、なぜだ」

言ってしまった。だが、振り向けない。

どんな顔をしているのだろう。きっと、そんなことあったっけ?と言うような表情なのだろうな。

「・・・覚えてねえ」長い沈黙の跡、素っ気なく高杉が答えた。そうだろうな。

予想通りの答えに、がっかりしたような、ほっとしたような。
592名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/06(木) 20:39:10.11 ID:ScOl1YQk0
振り向けば、すでに俺が出て行くことを予想しているのだろう。

高杉は定位置のように、窓際によって、煙管を握っている。

その行為が、早く行け、と言っているようで。

簪でまとめて髪を結い、

「ではな」と、ふすまを開けた。とたん、

見慣れた銀髪を見つけてしまった。



「・・・!!!」パシン!と、また、ふすまを閉める。

危うく、悲鳴を上げるところだった。

こんなところ、見られたら殺されるんじゃないか。

あいつの、独占欲は半端じゃない。