>>49 続き
3.獣たちと過ごす日々
将軍からの使いに、「もう少しまて」だのと何度か桂が伝えたころ、買い物に一人で行ったときにふいに後ろから声をかけられた。
気づかなかったのは、常に将軍のことに費え考えていたことと、女の身体になって、感覚が鈍ってしまったからかもしれない。
ふと、振り向くと、ヘッドフォンをした男がいた。放つ気がただものではない。そうとうの手練れのようだ。
「もし、そこの美しいお方。拙者と遊びませんか」
そう話すやいなや、・・・身構えるより早く、いきなり桂のみぞおちにパンチを食らわせた。桂の記憶はそこでとぎれた。
目を覚ませたとき、そこは見慣れぬ和室だった。
「気が付きましたか?手荒なことをして住みませんね、月子さん」表情のない声がかかる。それは、武市だった。
「はあん。こいつっすか、将軍のごひいきってのは。まあ、キレイだけど、私の方が若いっす!」偉く高飛車な態度でいう、この女は、来島・・・
ということは、ということは・・・桂の脳裏に、嫌な影がよぎった。