まあ、一回抜いてるからな」と言えば、
「貴様は・・・っ!」その焦り方。俺はお前の亭主じゃあるまいに。
「ん?嫉妬か?」そういえば、随分あの妓を気にしていたようだが。
「そんなわけあるまい。あきれているんだ」まさかな。
「へえ・・・でも、てめえは、そんな俺が好きなんだろ」嗤えば、紅くなって。
「あほか・・・・・・」とそっぽを向く。・・・なんだい。
これじゃ、まるで・・・
・・・やめてくれ、期待させるのは。
俺が煙草を吸いたいと思っているとでも勘違いしたか、
早く出たいための口実か、
「帰るから、存分に吸え」と言って、着物を取りに立つ。
その近くにある鏡台に、移った自分の姿を見て、絶句してる。
一面に紅い跡。
鏡越しに、よく見える。白い肌に黒い髪、紅い花。・・・奇麗だ。ああ、お前は奇麗だよ。
「たかすぎいいいいい!!!!」
「奇麗だろ。・・・いいじゃねえか。どうせしないんだろ。ばれねえよ」
「そう言う問題じゃない!」
「やはり、お前は嫌いだ」と言う桂が、本当にすねているようで、面白い。
ああ、お前のそう言うところ、俺は好きだぜ。