【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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「そんな・・・今日は偉く気が変わる日どすなあ・・・」

「金は払うから、頼む」出ていく女を、桂が目で追う。その様子がおかしくて、

「たまに来ては、舐めてもらうんだ」といえば、あからさまに顔を赤らめる。面白い。

そうだな。てめえは昔から、こういうところ嫌がったなあ。潔癖性なのか。だから、

「傷を」と、つづけて言った。それだけで、なぜか納得したような顔をする。おいおい、信じるのか。

「お前さん、その様子だと銀時に会わなかったようだな」

「あ、ああ・・・高杉、ここから電話をくれたのか?」

「まあな。下でちょっとばかり奴と飲んでいたからな」

「!!!!二人でか・・・めずらしい」

「まさか。たまたま会ったんだよ。俺は違うツレがいる」

思わず、癖で煙管に火を入れるところだった。その動作を隠すためにくるくる煙管を回す。と、桂がそれを目で追っているので、

「俺は、もうちっと派手な色が好みだが」と言えば、

「貴様は何もかもが派手なのだから、ひとつくらい落ち着いたモノがあった方が良い。ちょっとはおとなしくしろ・・・その方が、世の女のためだ」などといいやがる。

ああ、いつぞやの電話の女の件かとは思ったが、別段蒸し返すこともない。



それより、

「なんで銀時がこんなところにいるんだろうなァ」

「おおかた・・・不満なのだろう」

「相手してやってないのか」

「・・・子供がいるのに」まただ。桂は腹をさすっている。

「へえ。随分大切にしているんだな」面白くねえ。

「子供が出来た時の、銀時の喜び方は普通じゃなかった。貴様も分かるだろう。・・・あいつは・・・」

「一人もんだからな。血のつながりを欲してやまないんだろうよ」

「ああ。・・・じゃ、俺は帰る」