「そんな・・・今日は偉く気が変わる日どすなあ・・・」
「金は払うから、頼む」出ていく女を、桂が目で追う。その様子がおかしくて、
「たまに来ては、舐めてもらうんだ」といえば、あからさまに顔を赤らめる。面白い。
そうだな。てめえは昔から、こういうところ嫌がったなあ。潔癖性なのか。だから、
「傷を」と、つづけて言った。それだけで、なぜか納得したような顔をする。おいおい、信じるのか。
「お前さん、その様子だと銀時に会わなかったようだな」
「あ、ああ・・・高杉、ここから電話をくれたのか?」
「まあな。下でちょっとばかり奴と飲んでいたからな」
「!!!!二人でか・・・めずらしい」
「まさか。たまたま会ったんだよ。俺は違うツレがいる」
思わず、癖で煙管に火を入れるところだった。その動作を隠すためにくるくる煙管を回す。と、桂がそれを目で追っているので、
「俺は、もうちっと派手な色が好みだが」と言えば、
「貴様は何もかもが派手なのだから、ひとつくらい落ち着いたモノがあった方が良い。ちょっとはおとなしくしろ・・・その方が、世の女のためだ」などといいやがる。
ああ、いつぞやの電話の女の件かとは思ったが、別段蒸し返すこともない。
それより、
「なんで銀時がこんなところにいるんだろうなァ」
「おおかた・・・不満なのだろう」
「相手してやってないのか」
「・・・子供がいるのに」まただ。桂は腹をさすっている。
「へえ。随分大切にしているんだな」面白くねえ。
「子供が出来た時の、銀時の喜び方は普通じゃなかった。貴様も分かるだろう。・・・あいつは・・・」
「一人もんだからな。血のつながりを欲してやまないんだろうよ」
「ああ。・・・じゃ、俺は帰る」