【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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525名無しさんの次レスにご期待下さい
>>522
銀髪頭の野郎が、

こんなところに来るとは思わなかった。

別に浮気だなんだの責め立てるつもりもないが、正直どうでも良いが、

「良い父親」だとヅラが抜かしていたのを思い出したら腹が立った。

・・・だから、電話して教えてやった。

「亭主の管理はしっかりしやがれ」と。



妓の両顎を掴んで、少し腰を動かす。

そのゆれに、黒髪がパラパラ音を立ててなびく。

「・・・奇麗だな」

言えば、自分のことと思ったんだろう。気をよくした妓がうっとりした顔になる。

きつく吸い付いて、深く銜える。

やりゃあできんじゃねえか。
526名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/06(木) 00:55:15.24 ID:/KTqcbfa0
そろそろ、ヅラは来ただろうか。

万斎は余計なこと言ってねえだろうな。

あいつは、人をもてあそぶ悪い癖がある。

・・・それにしても。

たった一度だけ。

あいつに“ちっとなめてみてくれねえか“と言ったことはある。

だが、すげなく断られた。別にどうしてもと言うこともなかったので、それっきりだ。

・・・・
527名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/06(木) 00:56:06.46 ID:r2xu+0Ux0
気づいたら、自分のいいように動いていた。限界が近い。

俺が目を細めると、承知したかのように手を沿えた。

「・・・・ぅっ・・・」

は・・・

最後まで、手も口もはなさず、飲み下す。

出来た女だ。

その赤らんだ頬をなでた時、

トントントン・・・と階段を上る音が。

何となく、その音に聞き覚えがある気がする。

「高杉はン」

女が何か言ったが、構わず立ち上がり、

ふすまをあけた。

思わず、くるりと、向きを変える、妓ではない女。

紅い簪で結い上げた、黒髪。細い項。あの匂い。

気づいたら、奴の髪のかんざしを抜き取っていた。

バサ・・・っと、髪が堕ちる。ああ、奇麗だ。

俺を振り向いて、

!!!!!!

驚愕の表情。



静かに奴の腕を掴むと、無言で部屋に連れ入る。

奴はつったったまま。「座れ」と言えば。

部屋の隅、俺と離れたところに座る。

手を腹に載せて、警戒している。そんなにそいつが大事なのか。

「高杉はん、一体、どういうわけですのん」

とろりとした女がすり寄ってきた。忘れていた。

「気が変わった。出ていってくれ」
528名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/06(木) 00:57:55.30 ID:XuhG76vb0
「そんな・・・今日は偉く気が変わる日どすなあ・・・」

「金は払うから、頼む」出ていく女を、桂が目で追う。その様子がおかしくて、

「たまに来ては、舐めてもらうんだ」といえば、あからさまに顔を赤らめる。面白い。

そうだな。てめえは昔から、こういうところ嫌がったなあ。潔癖性なのか。だから、

「傷を」と、つづけて言った。それだけで、なぜか納得したような顔をする。おいおい、信じるのか。

「お前さん、その様子だと銀時に会わなかったようだな」

「あ、ああ・・・高杉、ここから電話をくれたのか?」

「まあな。下でちょっとばかり奴と飲んでいたからな」

「!!!!二人でか・・・めずらしい」

「まさか。たまたま会ったんだよ。俺は違うツレがいる」

思わず、癖で煙管に火を入れるところだった。その動作を隠すためにくるくる煙管を回す。と、桂がそれを目で追っているので、

「俺は、もうちっと派手な色が好みだが」と言えば、

「貴様は何もかもが派手なのだから、ひとつくらい落ち着いたモノがあった方が良い。ちょっとはおとなしくしろ・・・その方が、世の女のためだ」などといいやがる。

ああ、いつぞやの電話の女の件かとは思ったが、別段蒸し返すこともない。



それより、

「なんで銀時がこんなところにいるんだろうなァ」

「おおかた・・・不満なのだろう」

「相手してやってないのか」

「・・・子供がいるのに」まただ。桂は腹をさすっている。

「へえ。随分大切にしているんだな」面白くねえ。

「子供が出来た時の、銀時の喜び方は普通じゃなかった。貴様も分かるだろう。・・・あいつは・・・」

「一人もんだからな。血のつながりを欲してやまないんだろうよ」

「ああ。・・・じゃ、俺は帰る」
529名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/06(木) 00:58:39.11 ID:DEO1gD0O0
ああ、行くのか。そんなに、俺といたくないのか。そいつに、何かすると思っているのか。

「待てよ」

手首を捕んで、引き寄せる。

「はなせ」ありったけのすごみをきかせたつもりだろうが、全然効かねえ。

「一度この部屋に入って、何もしないなんて野暮じゃねえか」

「は・・・貴様」

そんなにこいつが大事なら。お望みのこと、してやろうか。奴の腹に手を当てる。何も聞こえないし感じねえが、ここには、奴の宿した命がある。

今、俺はお前の大切な命を握っているんだぜ、桂。さあどうする。

「・・・・!!!」桂が息をのむのが分かる。

「こいつ、いなくなったら困るよなあ。銀時、狂っちまうかもしれねえな。クク・・それもそれで又面白えかもな。また、あの白夜叉に会えるんじゃあねえか」

「な・・・」その反応。たまらねえ。腹をゆっくりさする。

「桂・・・」低く耳元でささやく。

「・・・・高杉」

素早く桂を抱え上げると、隣の布団にゆっくり寝かせた。どう扱えばいいのか。