何か言い返せないかなあ。あ、そうだ。
「そういや、万斎君。あれ、あのこと、この凶悪犯に話してくれた?」
「「「?」」」三人、不思議そうな顔をする。
全員に注目された当の本人は、本当に分からないのか、分かってて知らぬ振りをしているのか、
「はて、なんのことでござろうか」と言ってくる。しょうがねえなあ。
「だ??か??ら、あれだよ、あれ。俺のを最近月子が舐めてくれるって言ったでしょお!」
「はあ?」万斎は、思いつきもしなかったという顔をしたが、俺は高杉が一瞬、ほんの一瞬だけど動きを止めたのを見逃さなかった。
「も??、真っ赤な顔しちゃって、“仕方ないなぁ、銀時はぁ”とかいいながらさあ。可愛いのなんのって。・・・うらやましいだろ、高杉君」
言えば、心底嫌そうに、
「はっ・・・何かと思えば。どうせ下手だろ。興味ねえ」
言った瞬間、反射的に俺は手に持ってた杯を奴の顔面に投げていた。
反射的に、万斎が左手でそれを受け止める。
カラン、と音がして、テーブルの上に杯が堕ちた。
当の高杉は微動だにしない。悠々と酒を飲んでいる。これを予想していたのだろうか。
武市は何が起こったか分かってないようだ。
「おいたが過ぎるでござるよ、白夜叉殿」
「わりぃ、手が滑った」
そう言って、心で舌打ちする。
「でもよ、人様の奥さん侮辱すんのが悪ぃんじゃねえ?プライドの高いあいつがやってくれるって事に価値があるんだろうが。んなこたあ、てめえも分かってることだろ」
「・・・」
「してもらったことねえからって、悔し紛れに言って良いことじゃねえよ。もっとも、てめーみたいな強姦野郎のこ汚ねえもんなんざ、あいつは死んでも舐めねーけどな!」
言った瞬間、奴の手から杯が飛んできた。
反射的に、俺はそれを右手ではじく。
2,3滴、顔に酒の滴が飛んだ。
「てんめぇ・・・」奴を睨めば、
「わりぃな、手が滑った」
そう言って、にいっと嗤った。