「だから・・・あいつが、俺に愛情があるとかどうとかいうことは、ない。なにしろ、・・・き・・気持ちの悪い・・・俺を、だ・・抱くのは、
それなりの理由があったからだ。・・・分かったら、お引き取り願えるだろうか」
「いや、それは誤解でござるよ。晋助は」
ここで引き下がるわけにはいかない。だが、桂は更に、声を潜めて話し出す。
「奴は、俺に将軍を、寝床で殺害しろと言った。だから、きっと、その為に俺を、男に馴染ませるために・・・したことだ。それ以外に理由はない。あの行為に・・・」
なぜか、桂はとてもつらそうに、哀しそうに言った。
ああ、そのときのことを思い出しているのか。
そう言うことに、二人の間ではなっていたのか。
晋助が、拙者に言ったこととは矛盾する。ということは、本当は理由など無かったのだ。
戦略など、あるはずのない行為。
当然だ。ただの、“愛”に、理由などない。