突然に、晋助が言い出した。
朝食の後で。
「おう、来島。聞きたいことがあるんだが」
「はいっ!なんっすか!」話しかけられることがまれなので、また子は嬉しそうだ。
「てめえ、武市のことどう思う?」
「えええええ???何すか?いきなり!きもいっす!近寄って欲しくないっすよ!」
「何ですか、あんた。私だって貴方のような猪女ごめんですよ」同じ部屋にいた武市がすかさず言う。この二人の折り合いが悪いのは有名だ。
「じゃあよ、好きな奴はいるか?」
「私の好きな人は晋助様っす!!!!・・・あっ」ぽーっとなって、言っちゃった!みたいな顔をする、また子。可愛い。・・・可愛いけど、
なぜそんなことを言い出すのだ、晋助。
「ちっと、たとえ話につき合ってくれや」
「いいっすよ!!」
「じゃあ、例えばよ、・・・そこの武市にてめえが犯されて」
「えええええ??????!!!突然、なんて事言うンすか!!きもいこと言わないでほしいっす!!!!そんなの無理!!死んじゃう!!」
「うるさいですねえ。私だって貴方のような猪女ごめんでだって言ってるでしょう!!」
イラッとしたのか、晋助が、低い声で
「聞け」
と言えば、しんとなる。
「・・・武市に犯されて、てめえにガキが出来たとする」
あっ・・・なんかわかったかも。だけど。・・・。
「はあああ??!!超嫌っす!!もう無理!!想像もしたくない????!!うあ????!!」
「じゃ、もういい」また、イラっとしたのか、素っ気なく言うと、また子はたまらない。
「すみませんでした!!聞きます!聞きます!聞きますから、お願いですから、怒らないで下さい、晋助様ぁ??」
そう、見放されるほど、つらいことはない。この人に。