余談 たとえ話
最近、晋助の様子が変だ。と、万斎は思う。
いや、正直に言うと、細かくは3ヶ月ほど前から変だった。
だが、その変調はとても微妙で、
多くの主要メンバーは気付いていない。
隊員に至っては全く分からないだろう、違和感。
2ヶ月前に一度、スナックお登勢に偵察に行ってきた。
収穫といえば、
桂がやはり白夜叉の子を身ごもっていたこと。
そしてそれを、かたくなに晋助に隠していること。
そのため、晋助との連絡を絶っていること。だ。
だが、晋助には、その時点ではまだ桂が女であることしか報告していない。
それだけで、あの人はきっと全てを悟ったろう。
わざわざ桂が連絡を取らなくしても、
聡いあの人は気付いてしまう。