「ちょっと、月子殿を呼んでくださらんか」
「ナニイッテル。月子はニンキモノダヨ。ムリね」
「チップを渡すでござるから」と、懐にいくらかやれば、
「マッテロネ」と、月子のところへ行く。
あれが有名なこそ泥キャサリンか・・・
月子となにやら言い合って、困った顔をしながら月子がやってくる。
「なんだ」
むっとしている。
「拙者は客でござる。もっと愛想良くしないと、経営に響くでござるよ」と言えば、
「・・・関わるなと言ったのはそちらの方だ」という。
以前、温泉であった時のことを話しているのだろう。
「まあ、それはそれ。今日はちと、相談がござって参った次第」
「?なんだ?」
「以前の温泉にて、主と交わした秘密の約束があったでござろう」
言えば、すぐにぴんと来たか、
「!!!貴様、まさか・・・!!」
「いやいや、拙者、約束は何があっても守る男。晋助には一言も言っていないでござるよ」
「そ、そうか・・・」あからさまに安堵のため息をつく。
「その、秘密だが、やはり、拙者の思ってたとおりだったのであろうか」
う??ん、と桂は悩むそぶりを見せたが、
「それも秘密のうち。誰にも言わないでござるよ」と言えば、
こくり、と、頷いた。やはり。