【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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>>424
余談 一回目の訪問



スナックお登勢に、立ち寄ったのは、金曜日の8時くらいだったろうか。

金曜の、ここは込んでいる。カウンター一席しか開いていない。

そこへ、猫耳のなにやら不思議な女に案内される。



裏から、美しい女がやってきて、どうぞ、と、水とおしぼりをくれた。

瞬間、拙者の顔を確認して、あからさまに嫌な顔をする。

変わらない、いつも通りの、“月子”だった。

で、「ご注文は」と言った。

「ビールをお願いするでござる」

後ろに行って、なにやら猫耳女に耳打ちする。

それから、桂がビールをつぎに来ることもなく、猫耳女が拙者の前に来ては世話をやいた。

あちこちで、

「月子ちゃ??ん、こっちもう一本」などと、声がする。

月子は、この店で大人気だ。

もっとも、前と違って、今は人妻。子供の母親。それをみんな知っている。

だから、色を求めてと言うより、美と癒しを求めてきている客ばかり。

それを知っているから、白夜叉も、お登勢も、毎週金曜だけはこの月子をピンチヒッターとして狩りだしている。



(そういえば、家賃代の代わりなのかもしれぬ。金は渡したはずなのだが・・・)などと思っていると、ビールがカラになった。

「月子殿、拙者にもう一本同じものを」

といって、わざと月子を指名する。

「はーい」と返事はしたが、持ってきたのは猫耳だ。

らちがあかない。