【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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420名無しさんの次レスにご期待下さい
>>417
その次の朝、高杉たちは朝早く経った。そのため、すずという娘が高杉の部屋で目を覚ました時には誰もいなかった。

そして、三人分の宿泊費は全て支払われていた。

あんなにも、熱く、自分を欲した男。



傲慢で、横暴な態度なのに、情熱と相反する優しさを持っている。

ただ一つの眼差しは、危うげで、切なく、

自分を見ているようで、見ていないようでもある。



その熱が大きすぎて、知らなかった自分を思い出せない。過ぎ去った今は、凍えそう。

娘は、その男を思い出して、また泣いた。

一夜の夢とは知っていた。でも、

知っていてもなお、

本当に、好きだったのに・・・・と。
421名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/04(火) 20:05:48.75 ID:ZtDwhcyA0
【万斎】

さて、その早朝。

「そういえば、晋助に渡しそびれていたものがあるでござるよ」

「ああ?」

「昨日、月子殿から、これを」

と、白い包みのなにやら長いものを渡す。

「何だァ?」

「誕生日プレゼントだそうで。いつもお世話になっているからと」

「へえ」



早速開けてみる。

中から出てきたのは・・・・

渋い、茶色の煙管。

「・・・・・」

「・・・・・」

「いや、なかなかいいじゃないでござるか」

「・・・・まあ、もらっとくぜ」



拙者は、笑いをこらえるのに必死だ。

どう見ても、高杉に似合うとは思えない。高杉が実に、嫌そうな顔をした。

と、そこで、もう一つあることを思いついた。

「どうでも言い話だとは思うが、昨日の娘の件、月子殿はご存じでござるよ」言えば、

「!」あからさまに驚く。
422名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/04(火) 20:06:30.82 ID:Zl0Q0/Xb0
「・・・どこまで」

「最後以外は全部でござる。部屋に送る途中で、息巻く娘達に遭遇してしまったので」

「・・・へえ・・・」

あ、動揺してる。

「娘さん達の話を聞いて、激高してらした様子」

「・・・・・!!」

そんな、浮気のばれた亭主のような顔しなくても。



まあ、こんな晋助も悪くはない。

いや、むしろちょっと良いかもしれない。

人間らしくて。

なにより、構っていて、面白い。と、思うのだから、自分もなかなかだ。



しかし、この先、公のみんなの前で、高杉がその煙管を使っているのを、見たことがない。

だが、部屋では往々にしてそれで吸っている。

仕事の上では、私事を持ち込まないようにしているのか、はたまた、思い出して集中できなくなるとか・・・(そんな可愛いことはあるまいが)謎である。
423名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/04(火) 20:07:04.92 ID:N2/asmvJ0
さて、温泉旅行から帰った次の日、

みんなにお土産を配る万屋夫婦。



配り終わって、

しばらくすると、お登勢が

「旅行も良いけど、家賃も払いな!」とやってきた。



「んだよ、ババア。土産もらっといて」

「ああ、まんじゅうね。ごちそうサン」

「それ以外にもやったろ、高けー煙管」

と、銀時が言うと、ビクッと桂が身を震わせた。
424名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/04(火) 20:07:55.18 ID:z97tUrSo0
「はあ?」

と、お登勢が聞き返す。

「ん?レシートにあったから、・・・ババアへじゃないの?」

「あ、いや・・・」

言いよどむ、月子を見て、なにやら思い当たったのか、お登勢が

「ああ、そういや、さっきもらったねえ。よく見てなかったけど、あれは煙管だったのかい、ありがとうね、月子」

と言った。



「い、いや、こちらこそ・・・」

と、月子が言う。

「はあ???」

何か、いぶかしむ銀時だったが、

「じゃあ、それに免じて、今日のところは取り立ては止めてやるよ、感謝しな」

とお登勢が言ったので、機嫌良く、「おう」と言った。

な??んかへンなひっかかりを感じたんだけど・・・

と、胸に引っかかるものを感じながらも、銀時は問いつめるのを止めた。

こいつが男に戻る日も近い。

そんなことばっかり、言い合ってる場合じゃないモンな。