【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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414名無しさんの次レスにご期待下さい
>>411
部屋の前に立つと、案の定、まだ起きていたらしい晋助が「なんだ」と出てきた。

だが、その姿に、みんな息をのむ。



なんともまあ・・・煽情的だ。

水でも浴びたのか、濡れた髪。大きくあわせの開いた着流しの浴衣。

厚い胸板と、隆々とついた奇麗な筋肉が垣間見える。ところどころに、刀傷があるが、それがまた妙に男らしさを感じさせる。

そして、熱を帯びた熱い隻眼。

吐息までが、色を含んでいるようだ。



おおかた、先程桂の肌に触れ、口づけた余韻が残っているのだろう。この人は男なのに、たまに驚くほど艶っぽい時がある。

斜に構えた顎を上げて、見下すように、女三人と、拙者を見て、

「アァ?なんだ、誕生日パーティでもはじまんのかあ」

と言った。

その言葉に、雰囲気に飲まれていた女の子達の中の、一番血気盛んな子が、顔を赤らめながらも、気丈に言った。

「この子をもてあそんだこと、謝って下さい!」

「・・・あぁ?」

ふと、考えるそぶりを見せ、真ん中の涙目の女の子を見つめて言った。

「ああ、さっきはすまなかったな。ちと急用を思い出しちまったんでねぇ・・・詫びに行こうにも、部屋を知らなかったもんで」



さらりと心にもないことを言ったよ、この男・・・。しかし、ことのほか、女の子には効いているようで、その後、誰も何も言わない。

「俺も、あんたにはもう一度会いたいと思ってたんだ。来てくれてうれしいぜ」

低い、響きのある声で言う。そして、じっと、その娘を見つめる。

他の二人にはいっさい目をやらない。じっと、ただ、その子だけを熱い目で見つめ続ける。一瞬たりともそらさない。

ああ、これは、勝負あったな。この男に、こういわれて、見つめられて、悪い気がする女はいない。

「もし、許してくれるなら、部屋で一緒に一杯やろうや???????????? その気がないなら、俺のことは忘れてくれ」
415名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/04(火) 19:23:32.39 ID:nKGLN7Co0
もう、彼女は泣いていない。嬉しそうに顔を赤らめている。

心は決まっているだろうに、隣の二人と顔を見会わせる。二人の手前、素直に行けないのだろう。

さっき息巻いていた一人の子が、「どうするの、すず」と言った。ああ、鈴という名前だったのか。初めて知った。



そのやり取りを、高杉はややつまらなそうにちらっと見て、こちらに視線を送る。・・・お前、面倒ごと嫌だって言ってなかったっけ?

俺は言いつけ守って部屋にいたのによう・・・と、若干すねているように、拙者は感じた。それが、あっているかどうかは分からないが。



すこしして、「ごめんね、みんな」と言って、高杉のところに鈴が歩み寄る。

「来な、すずサン」と、その腕を捕る。あ、晋助、主も今、その名前知っただろう!

それから、拙者の方をちらっと向いた。

「部屋聞いて、払っとけ」

「承知したでござるよ」

「それから」

「は」

「万斎、てめえは、もう、寝ろ」

と言って扉を閉めた。


まいったな・・・。

あの人は、この後も、自分がこの部屋の前に立てば間違いなく、また途中でも部屋から出てくるだろう。

だが、できれば、急用がない限り来て欲しくない、と言っている。

そりゃそうだろう。いくらなんでも、二度はあの子もかわいそうだ。

まあ、きっと晋助は自分が面倒だからそう言ったのだろうが。

そんなの、釘を刺されるまでもなく、分かってるでござるよ。



さて、女の子達に、

「部屋番号教えてもらってもいいでござるか?迷惑かけたお詫びに、この宿代は拙者達で払わせてもらうでござる」

といえば、とたん。

「え・・いいんですか」

などと、好意的になる。まったく、女という奴は。さっきまであんなに不満を言って息巻いていたというのに。

ここの宿代は安くはない。きっと、あの子達も“ラッキー”程度に思っているだろう。

しかし、この単純さを差し引いても、丸く収めるコツを良く心得ていらっしゃる。
416名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/04(火) 19:24:10.98 ID:vmGPzYNl0
笑顔で、二人の娘を見送って、

拙者も自分の部屋にはいる。



それにしても・・・

ちょっと意外だった。

三人の娘に、怒鳴って、すごんで黙らせればそれはそれで良かったのに。

官能的な雰囲気の晋助を思い出す。

桂に会ったからか。身体に熱をもってしまったから。

一人で処理するよりはましだと思ったのだろう。



明日は早くに出発する。

拙者も、マジに寝させてもらうでござる。
417名無しさんの次レスにご期待下さい:2012/12/04(火) 19:25:04.69 ID:QRervOc90
【高杉】

娘の身体を味わいながら、桂の姿を重ねて思う。

今頃、桂は銀時と・・・

ああ・・・あいつの肌にもう一度、触れたい。唇を重ねたい。

もう一度でいいから、抱きたい。

ただ、一度で良いから・・・



そんなことを考えていたら、急激に身体の熱が上がり、苦しくなった。

うっかり娘の中に出してしまいそうだった。



「は・・・」

瞬間、引き抜き、腹の上に吐精する。

それを確認して、娘は、幸せそうに笑った。

「あ?」

その顔を見て、案外この娘、若いのかもしれない、と思った。