>>411 部屋の前に立つと、案の定、まだ起きていたらしい晋助が「なんだ」と出てきた。
だが、その姿に、みんな息をのむ。
なんともまあ・・・煽情的だ。
水でも浴びたのか、濡れた髪。大きくあわせの開いた着流しの浴衣。
厚い胸板と、隆々とついた奇麗な筋肉が垣間見える。ところどころに、刀傷があるが、それがまた妙に男らしさを感じさせる。
そして、熱を帯びた熱い隻眼。
吐息までが、色を含んでいるようだ。
おおかた、先程桂の肌に触れ、口づけた余韻が残っているのだろう。この人は男なのに、たまに驚くほど艶っぽい時がある。
斜に構えた顎を上げて、見下すように、女三人と、拙者を見て、
「アァ?なんだ、誕生日パーティでもはじまんのかあ」
と言った。
その言葉に、雰囲気に飲まれていた女の子達の中の、一番血気盛んな子が、顔を赤らめながらも、気丈に言った。
「この子をもてあそんだこと、謝って下さい!」
「・・・あぁ?」
ふと、考えるそぶりを見せ、真ん中の涙目の女の子を見つめて言った。
「ああ、さっきはすまなかったな。ちと急用を思い出しちまったんでねぇ・・・詫びに行こうにも、部屋を知らなかったもんで」
さらりと心にもないことを言ったよ、この男・・・。しかし、ことのほか、女の子には効いているようで、その後、誰も何も言わない。
「俺も、あんたにはもう一度会いたいと思ってたんだ。来てくれてうれしいぜ」
低い、響きのある声で言う。そして、じっと、その娘を見つめる。
他の二人にはいっさい目をやらない。じっと、ただ、その子だけを熱い目で見つめ続ける。一瞬たりともそらさない。
ああ、これは、勝負あったな。この男に、こういわれて、見つめられて、悪い気がする女はいない。
「もし、許してくれるなら、部屋で一緒に一杯やろうや???????????? その気がないなら、俺のことは忘れてくれ」