>>404 「高杉には・・・言わないで欲しい。それに、もし、子供が出来たとしても、産むかどうかも分からないのだ・・・」
そうか、男に戻るためには、子供は邪魔だ。
「分かっているでござる。拙者も無駄な波風は立てたくない故。これは、主と拙者、二人だけの秘密と言うことに。もとより、夫婦の問題でござろうから」
と言えば、ほっとしたように、頷く。
すこし、座って水分を捕れば、だいぶ具合が良くなったようだ。
部屋までもう少し。立って歩き出す。
と、突然、近くのドアが開いた。
出てきたのは、女の子3人組だ。
あ・・・・
二人の女の子が、泣いている一人の女の子を挟むように歩いてくる。
「行って、あやまってもらう!一言言わなきゃ気が済まない!」
「自分から、声を掛けてきて、途中で放り出すなんて、訳わかなん無い!絶対許せないよ」
「で、でも・・・」泣いている、真ん中の子は、見覚えがある。
晋助の部屋から出てきた娘だ・・・
「あっ」
気付かれてしまった。
「どうしたの?」
「あの部屋の前にいた人だ・・・」
「え??!!じゃ、この人は例の奴の仲間?」
うわ??、この状況で会いたくなかった。
「先程は・・・拙者が邪魔をしてしまったようで、申し訳ない」
と言えば、困惑したように、拙者を見つめる。
「いえ・・・別にノックされたわけでもないし、貴方のせいじゃ・・・でも、あの人の友達ですか」
「友達というか・・・まあ、仲間でござるが」
「あの人、どういう人なんですか?彼女とか居るんですか?なんで私に・・・」
と言って、また泣き出してしまった。
ちょっとおおお????。晋助。拙者面倒ごとはお断りと言ったはずでござるよ??。
なんかすごい修羅場的になってるんだけどおお????。と、突然。
「泣くな、娘さん。何があったかは知らぬが・・・可愛い顔が台無しだぞ」
桂!!!何を男前なことを言ってるでござる!!というか、そういやこの人男だった。
なんと、そんな桂に、三人組の女はあることないこと(かは知らないが、)泣いている娘が晋助に受けたひどい仕打ちについてとくとくと語り出した。
ああ、これが女の連帯感なのか。
“ひどい奴の仲間”=拙者 と、一緒にいる桂を味方に付けて、“ひどい奴”=晋助 を、懲らしめに行くつもりらしい。恐ろしいことを・・・
桂は、先程の弱弱しさはどこへやら、すっかり頼れるお姉さん的存在に。
「こんな若い娘をたぶらかすなんて、大人として最低だ!」だとか、「男の風上にも置けぬ」だとか。・・・・そして、一言。
「全く・・・なんてひどい奴だ!!!よし、俺が行って殴り殺してきてやろう!!」
などと言い出す始末。鬼退治の桃太郎か、あんたは。
勘弁して下され。
「いやいや、ひとまず、こちらの話は拙者が何とかする故、月子殿は部屋にお帰り下され。身体も本調子ではないことですし」
と言って、とりあえずなだめる。
そして、桂の部屋に行くと、血相変えて白夜叉が飛び出してきた。
「んもおおお??????!!!!心配したでしょオオオ!!!電話かけまくっちゃったよ!!」
と言って、月子に抱きつく。
「大丈夫?」「大丈夫」などと、ああ、バカップルぶりを発揮だ。それで、今までのいきさつを説明する。しぶしぶながら、白夜叉が御礼を言った。意外だ。
で、桂が、まだ「これから高杉を殴りに行く」なんて言うと、
「はあ?あいつのとこに行くって??だめに決まってるでしょオオオオ!!!大体、あいつは女にだらしないの!!!だから自業自得!!!ほっとけ!!!」と言って聞かない。
「そうでござる。こちらの問題はこちらで片を付けますよ。では、お休みなさいお二人とも」
と、202号室を後にした。
はああ??にしても、気が重いでござるなあ・・・
女の子三人は、ずっと後を付いてくる。
その間にも“ひどい奴”について、色々聞かれたが、適当にあしらうことにした。
まあ、悪いのは拙者もだが、晋助も。とりあえず、会わせるくらいはしておくか。あとは、晋助がどう出るかにまかせればいい。