しかし、心なしかやはり顔色が悪い。速く部屋に戻さねば。
「歩けなければ、抱えるでござるが・・」
「いや、いい!・・・そうじゃなくて、これを」
ごそごそと、拙者が持っていた桂の袋から、一つの包みを取り出した。
「奴に・・・誕生日だろう」
「晋助にでござるか?」
「ああ・・・色々と世話になっているしな・・・あの、あれだぞ。そんな深い意味はないからな。
ただ、まあ、思いつきだ。たいしたものでもない」
などと、あたふたしながら渡してくる。なかなかこの表情は可愛い。
「では、確かに。引き受けたでござる」
桂が、ちょっと、はにかんで嬉しそうな顔をした。
それから、徐々にしっかりした足取りで、階段を上り、二階に来た時、突然。
うっ・・・と言って、口元を抑えた。なにやら吐き気を催しているようで、持っていた袋の荷物だけを出して袋を桂に渡す。
はあはあと息をしながら、吐き気に耐える桂。結局、戻さずに終わった。
しかし・・・
これは、ただの湯あたりではないな。
「月子殿・・・これは拙者の勝手な憶測でござるが」
ビクッと桂の身体が揺れた。