「ああ?上様叩いておいて、俺たちまで侮辱たあ、ちっと気が強いだけじゃあ、すまねえぜ」
鬼の副長の目がぎらり、と光った。まるで、抜きたての刀のようだ。
だが、桂もひるまない。きっと、将軍をにらみ据えた。
「俺は、貴様が嫌いだ。国を守ろうとした侍を見捨てた輩だ!そんなものに名乗る名など無い!貴様は・・・」
「・・・!!」
店のすぐ外でも、真撰組の隊士たちのどよめきが起こる。
「おいねーさん」低い声で桂の腕を掴んでいた副長が言う。
「言い過ぎやしねえか?あんたまるで言うことが攘夷志士だ。ちょっと屯所まで来てもらおうか。こりゃ重罪だぜ」
桂を外に連れ出そうと、その腕を引っ張った。
「はなせ、芋侍の分際で!」と、桂が声を張り上げたとたん、
「待った待った??、この人、俺の依頼人なんだ。ちょっと頭がおかしくてね。勘弁してやってくれないか?」
騒ぎを聞きつけて、あわてて飛んできた様子の銀時が割って入ってきた。
てめえの出る幕じゃねえよ、と、副長がまさに鬼のようにすごんだが、それにのらりくらりと言いくるめようとする銀時。いつもの小競り合いが始まった。